其の73:進化したゾンビ!「ランド・オブ・ザ・デッド」

 1968年、その後の映画史に多大な影響を与える<衝撃的>な映画が公開された。「ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド/ゾンビの誕生」である。監督はジョージ・A・ロメロ。続く第2作(日本ではこれが最初に公開された)「ゾンビ」(’78)によって「生ける死者」の名は世界的に認知され、そして最終作「死霊のえじき」(’85)によって所謂<リビングデッド・サーガ>が完成。数多くの亜流を生んだ(筆者もいっぱい観た・・・笑)。その<ゾンビ映画>の創始者ロメロ御大自ら監督した本家本元のゾンビ映画ーそれが「ランド・オブ・ザ・デッド」!!これはマジで面白い!

 物語は理由不明のゾンビの大量出現によって、人類がかろうじて<小都市>をつくって生きる近未来のアメリカ。富裕層と貧民層が争う中、ゾンビ軍団が都市にむけて進軍を開始する・・・という、これまで同様いたってシンプルな筋立て。だが、これがいいのだ!もう今更<ゾンビ>に誕生理由や複雑な物語は必要なし!すぐに人類VSゾンビの対立構造を見せる小気味よい展開である。

 キャストはデニス・ホッパー先生を筆頭にジョン・レグイザモ(「サマー・オブ・サム」)、アーシア・アルジェント(あのダリオ・アルジェントの愛娘!)に、「ザ・リング2」のサイモン・ベイカー、そしてトム・サビーニ先生という超豪華俳優陣はーゾンビ映画史上初の快挙かも(笑)。
 かたやゾンビは「集団で行動」、「武器を使用」と徐々に学習、進化してゆく!「ドーン・オブ・ザ・デッド」のゾンビはダッシュしたが(爆笑)、ロメロ御大は本来のテイストを生かしつつ「新世紀」のゾンビを生み出す事に成功している。

 以前見られた<終末観>度が低いのがやや難点だが、編集のリズムもよく昔からのファンも最近のヤング(死語)も面白く観賞出来るだろう。<真打ちロメロ復活>を印象づける快作である。