20世紀を代表する二枚目俳優、アラン・ドロンが亡くなった。「太陽がいっぱい」、「山猫」、「サムライ」その他、多くの名作に出演。世界的イケメンといえば昭和の日本ではドロンさんだった。本当に残念!!少年時代の大スター達がどんどん亡くなっていくのが寂しいわ・・・。
アラン・ドロン追悼・・・の代わりに“フランスつながり”で久々フランス映画ネタ。故ジャン=ジャック・ベネックス監督の長編デビュー作「ディーバ」(’81)をさくっと書きマス。スリラーなんで、あんまり書くとネタバレするからさ。勿論、タイトルのディーバは<歌姫>のこと。後に「デリカテッセン」や「エイリアン4」に出るドミニク・ピノンが殺し屋コンビのひとりで出演してるよ^^。
フランス・パリ。若き郵便配達員のジュール(=フレデリック・アンドレイ)は、アメリカの黒人ソプラノ歌手シンシアの大ファン。レコードを出さない主義で知られる彼女のコンサートに行ったジュールは密かに歌声をカセットテープに録音。更にコンサート終了後、彼女の楽屋を訪れ、コンサートで着ていたドレスをも盗んでしまう。
翌日。サン・ラザール駅に売春組織から逃げ出したナディアが昔の友人クランツに助けを求めてやってきた。だが、すぐさま追ってきた殺し屋コンビに見つかってしまう。逃走中、ナディアは組織の秘密を暴露したカセットテープを偶然そばにあったジュールの郵便配達用バイクの鞄に隠したものの、その直後、アイスピックで殺されてしまう。なにも知らずバイクを発進させるジュール。カセットテープを巡ってジュールは犯罪組織と捜査する警察、双方から追われる身となってしまったー!!
原作はデラコルタ(スイスの作家、ダニエル・オディエのペンネーム)のセリ・ノワール連作小説の第2作目「ディーバ」。これをベネックスらが自由に脚色、巻き込まれ型のよくあるパターンながら、ベネックスが好きな要素をあれこれぶち込んで自分好みに染め上げた結果、大ヒット。公開当時、アメリカでは“フレンチ・ニューウェーブの登場”と呼ばれた。
兎にも角にもまず画面が色彩も含めてポップなんだよね。ジュールがひとりで住むロフト(彼に家族がいるのかは不明)に原付バイク、一夜を共にする売春婦の部屋のオブジェ、ひょんなことから知り会うカップルの部屋のジグソーパズル・・・殺し屋コンビはパンク・ファッションだし(笑)。そんな映像のバックに流れるのがシンセサイザー音楽とオペラ。物語の肝になるのがカセットテープ(アナログ)って(今の若い人は知ってるかしら?)、、、いや~<80年代>だなぁ(懐)^^!
その昔はヒッチコックに心酔したフランソワ・トリュフォーのサスペンスでさえ個人的には展開がゆる~い・たる~いフランス映画(トリュフォーファンの方めんご!でも「黒衣の花嫁」辺りは・・・テンポ悪かったと思う)。今作も前半はスリラー寄りではなくて、むしろ青春映画のノリなんだけど(よって、編集のテンポはゆったり目)・・・主人公が原チャリ駆使して警察から逃げまくるシーンからテンポが加速(この一連のシーンは必見)、一気に目が離せなくなる。どういうラストを迎えるのかは観てのお楽しみ^^!
新人監督の長編デビュー作って、普通は<低予算>なんだけど、この作品は少々ゴージャス!大勢のエキストラが出るとこもあれば、車の爆発シーンとかもあるし。なんでも女性プロデューサーがベネックスに与えた今作の予算は、当時としては異例の750万フラン(当時の日本円で約3億円)。やっぱり、予算あった(笑)。でも逆に撮影技術含めて、この規模の作品を新人ながら演出したベネックスは、、、やっぱり才人だったなぁ。先日久々に観直して改めて感心したわ。若くして亡くなられたのが悔やまれる。
近年、個人的にはフランス映画をほとんど観てないや。リュック・ベッソンあたりも頑張ってるとは思うけど・・・。
今年も残り4か月!これから「エイリアン」の新作も含めて面白そうな映画がちょいちょい公開されるので楽しみだわ❤