其の645:シリーズ完結「アウトレイジ最終章」

 忙しくしていたら、もう10月も中旬・・・(あんぐり)!暑かったと思ったら、急激に寒くなって身体がついていけまへんわ。

 
 さて北野武監督・主演のシリーズ3作目「アウトレイジ最終章」をようやく鑑賞!!大ヒット上映中につき、さくっ・・・と書きます。勿論、いつものようにネタバレしない範囲で^^。さすがに2本やっての3本目なので、必ず前の2本を観てから今作に備えましょう。


 関東の暴力団「山王会」と関西の「花菱会」との抗争後、日本と韓国を牛耳るフィクサー・張会長の庇護の下、大友(=言うまでもなく、たけしさん)は韓国で日々を過ごしていた。そんなある日、韓国に来ていた「花菱会」の花田(=ピエール瀧)がトラブルを起こした挙句、張会長の手下を殺して帰国してしまう。緊張状態へと突入する張のグループと「花菱会」。その「花菱会」では新会長(=大杉漣)のやり方に古参の幹部たち(西田敏行塩見三省)が不満を募らせていた・・・。一方、恩のある張会長の部下を殺された事に激怒した大友は過去を清算すべく日本へ戻るー!!


 前作からの西田敏行塩見三省、白竜らに加え、大森南朋ピエール瀧原田泰造池内博之らが新たに参加した本作。「山王会」はいつしか「花菱会」傘下の弱小組織に成り下がっていた(笑)。「予告篇」を観た時は・・・勿論、おいしいカットを集めて作られているのは百も承知だったが・・・迫力ある言葉の応酬、バイオレンス描写(マシンガン大乱射!!)に加え、不穏な空気を増幅させる音楽に・・・「これはスゲー映画になってそう」と興奮したものだ^^。だが・・・いざ本編を観てみると、個人的には筆者の期待値までには届いていなかった(残念)。

 シリーズも3作目・・・スケールが大きくなったのも、話がより複雑になるのも・・・作劇としては分かるし、セオリーといえばセオリー。1作目からヤクザ社会を舞台にしながらも<人間社会の縮図>として描いていることも・・・ブレていない。初期の北野作品と比べて、構図の取り方も編集も分かりやすい。ただ、個人的には全体的に“何か”が物足りなかったのだ。

 それは「1」でワクワクした“殺しのバリエーション”の数だったり、「2」で際立っていた怒号の応酬の減少・・・もあろう。ネタバレになるので非常に書きにくいのだが・・・作品を覆い包むある種の“もの哀しさ”が・・・過去2作にあったエンターテイメント性を、より薄めてしまったような気がしてしまうのだ(観た人はご理解して頂けるかしら??)。

 「これが北野映画」と言われてしまえば確かにそうなのだけど、ラストがハナからある程度は読めてしまうので(完結編だしね)、もっと派手であっても良かったと思うし(かのマシンガン乱射は凄かった^^)、いっそ「●●●が●●する」という展開も、たけしさんの中では絶対ありえないけど、あえてやってみても氏の今後における作劇パターンが広がるきっかけになったかもしれない。

 
 観ている間あきはしなかったけど、こちらの期待値が勝手に高かった分、ちと残念だったな。次回は自作の恋愛小説「アナログ」の映画化だとたけしさんは公言されているが、その「アナログ」の映画化とその後の“名俳優オールスター集結映画”に期待しますか♪・・・口で言う通りに作品を作らないところが、たけしさんの常ではあるのだが^^。