其の539:ベッソンの新作「LUCY/ルーシー」を観たけれど

 ロビン・ウィリアムズが亡くなったそうで(どうやら自殺らしい)。<名優>にして性格的にもユーモアに溢れたいい人だったのにー。彼になにがあったのかは分かりませんが、本当に本当に残念でならない。心よりご冥福をお祈り致します(涙)!


 試写会でリュック・ベッソン監督・脚本作「LUCY/ルーシー」を観ました。リュック・ベッソンは、このブログを読んでいる方なら書くまでもない「ニキータ」、「レオン」他で知られるフランス人監督!その彼がハリウッドの美人女優スカーレット・ヨハンソンと初タッグを組んで得意のアクション映画をこさえたわけなのですが・・・。公開前につきネタバレせぬよう短めに書きますわ!


 台湾でごく普通の生活を送っていたルーシー(=もちスカ・ヨハ)は、ひょんなことから香港マフィアの取引にかかわる破目に。組織のボス(=「シュリ」、「オールド・ボーイ」のチェ・ミンシク)は、手術でヒトの体内に新型ドラッグを入れ込み、その人間を海外に送り出す方法で密輸を行おうとしていた。ところが手術を受けたルーシーの体内でドラッグが漏れ出す事態に!その影響で普通の人間では全体の10%程度しか機能していないと言われる脳が、徐々に覚醒し始める。パーセンテージが上がる度に、超人的な能力を得ていく彼女は、フランスにいる脳科学者・ノーマン博士(=モーガン・フリーマン)と連絡を取ったあと、マフィアの犯罪を阻止するため行動を開始するー!!


 ね、話は面白そうでしょ?確かに人間の脳はごく一部しか使われていないと言いますが・・・そんな脳がもし100%使えるようになったらどうなるか!?それを美人女優スカーレット・ヨハンソンが演じたら、頭はウルトラ天才、運動神経は軽くブラック・ウィドウ越え(by「アベンジャーズ」)のハイパー・アクション・ヒロインによる大活劇・・・かと思いきや、そうはならず、誰もが予想せぬハードな●●方向に話が進んでいってしまう。・・・って、何故?!

 公開前だし、ネタバレしないように書くのが筆者の流儀なんで、観ていない人にはなかなか説明しにくいんだけど・・・観客はこの設定だったら、脳味噌100パー覚醒したスカ・ヨハの人間離れした超絶アクションが観たいんだよ!あの●●的展開がやりたいんだったらアクション映画の体裁を取らずにマジな「本格●●映画」を目指せば良かったのに!!

 「アンジェラ」の出来が余りに酷かったので、彼が撮らなくてもいい題材だった「アーサーと○○ 」シリーズや「アデル/ファラオと復活の秘薬」に「The Lady アウンサンスーチー ひき裂かれた愛」、そして前作の「マラヴィータ」は観ていないけど・・・もう結構な年月、ベッソンは他者へのプロデュースおよび脚本作品は当たるのに(例:「TAXi」シリーズ、「トランスポーター」シリーズ、「96時間」シリーズ他)自分が演出するとハズす!!筆者は「レオン」(’94)以降は全てどこかがズレていると思う。これは自分で撮らない分の“気楽さ”からくるものなのかしら?う〜ん、わからん・・・。

 ベッソン的には「スカ・ヨハこそ俺の次のミューズ!!」・・・と思ったかどうかは不明だが(→話は脱線するが一時期のウディ・アレンはそう思ったはず)今作のヨハンソンは全然セクシーじゃないし、おそらく留学しているとは思うが、彼女が台湾に滞在している理由もいまいち不明。&せっかく名優モーガン・フリーマンチェ・ミンシクが出演しているのに、いまいち勿体ない使い方。で、台湾と地元フランスで金かけてロケして、結果はあのオチと・・・(涙)。加えてベッソンの盟友エリック・セラの音楽もいまいち印象に残らなかったことも記しておこう。

 
 銃撃戦とパリ市内のカーチェイスに「ここまでいらんのに」と思う程の過剰なインサート映像(イメージから資料映像まで)はベッソンっぽいとは思ったけどね^^。でも、まだまだ筆者の目からは“長〜い停滞期”にいるリュック・ベッソンの最新監督作なのでした。果たして<復活>はいつの日か?「レオン」の輝きはいま何処ー。