<其の703>衝撃のオチがくるヒューマン・ミステリー「灼熱の魂」寸評

 週末、また大型台風が来るということで・・・。日本も根本から考え直す新たな治水対策を施さないといけない時代になったと思う・・・。

 

 先日、近日公開されるアニメ映画「HUMAN LOST 人間失格」を試写会で観ました。原案となっている太宰治の「人間失格」は学生時代に読んだきりだし、SFになってる事も重々承知で観たのですが・・・あそこまで振り切っているとは(驚)!!もう何書いても・・・ネタバレになるレベル(苦笑)。太宰治も・・・びっくりしてるだろう^^。アニメ「サイコパス」シリーズ(→来週から放送される「サイコパス」第3期が愉しみ❤)のスタッフでもある本広克之と冲方丁が、今作でも制作に名を連ねているんだけれど、あそこまでの発想の転換は・・・まぁ、衝撃でしたわ。

 

 "衝撃作"といえば2010年の映画「灼熱の魂」のラストも凄かった!レバノン出身でカナダのケベックに移住した劇作家ワジディ・ムアワッドの戯曲「焼け焦げるたましい(原題:火事)」 の映画化。監督・脚色は「プリズナーズ」や「ブレードランナー」の続編を手掛けた才人ドゥニ・ヴィルヌーヴ。勿論、ネタバレせぬよう短く書きます🎵

 

 カナダにてー。双子の姉弟ジャンヌとシモンの母ナワルがプールサイドで放心状態となり、急逝した。彼女を長年秘書として雇っていた公証人のルベルは2人を呼び、ナワルから預かっていた2通の手紙を差し出す。その手紙は<姉弟の父親>、そして<兄>それぞれに宛てたもので、消息不明の彼らを捜し、その手紙を渡す事がナワルの遺言だった。だが、兄の存在は初耳で、父はとうの昔に死んだと思い込んでいた姉弟は動揺を隠せない。弟シモンが困惑する中、姉ジャンヌは遺言の真意を知る為に、母の祖国レバノンへと旅に出る。果たして、2人は本当に存在しているのか?そして手紙には何が書かれているのか・・・!?

 

 俳優名は多くの日本人には大して馴染のない方々なので割愛しましたが、上記あらすじの通り、殺人とかは起きない系の<ミステリー>です。筆者も殺人の起こるミステリーの方が好きなんだけど(笑)、この映画のラストこそ<まさに衝撃の結末>という常套句がピッタリあてはまる映画(マジ)!!

 ジャンヌが旅立ってからはーこれを<現代>とすると、若き日の母親の<過去>がカットバックされていく構成(<現代>、<過去>、<現代>、<過去>・・・)。切り替わる時に地名のスーパーは出るけれど、年号とか出ないし、そんなに知ってる俳優さんじゃないから(失礼)、慣れるまで少々時間がかかる。このブログを読んだ方は事前に「レバノン内戦」について予習しておくと理解が早いでしょう。・・・筆者は映画観た後に勉強した(苦笑)。

 

 ホント、先のあらすじ以上書くとネタバレするんで・・・内容についてはこの程度にしておきますが・・・まぁ、壮絶な時代に一生を送った女性の一代記、っていうところですなぁ。監督ドゥニ・ヴィルヌーヴは"淡々とした映画"を作る人、というのが筆者の見立てなのだけれど、その淡々さが今作や後の「プリズナーズ」にはあっていた^^。「灼熱の魂」と「プリズナーズ」は映画好き必見と断然しよう!「ブレードランナー2049」(←これも"SF"かつ"ミステリー")は・・・個人的にはもうちょい、編集なりでエンタメ度を高めてワクワクさせてほしかったけど、この淡々さが彼の持ち味である事を確信した。

 

 彼の次回作になるであろう「デューン 砂の惑星」のリメイク(2部作になるらしい)は・・・どういうタッチになるのか分からんけど。