其の678:「十二人の死にたい子どもたち」寸評

 先日、来年公開のミステリー映画「十二人の死にたい子どもたち」を試写会で観ました(めちゃめちゃ久しぶりに行った試写会)。原作は映画化もされた「天地明察」の著者でアニメの構成も手掛ける才人・冲方丁の同名小説(2016年、第156回直木賞候補作)。公開前ですので、さくっと書いてみようかな、と思います。勿論、ネタバレなし!!


 サイトの主催者・サトシ(=高杉真宙)の呼びかけに応じ、12人の未成年達(=杉咲花新田真剣佑北村匠海ほか)が廃病院の地下にある多目的ホールに集まった。彼らの目的は皆で同時に<集団安楽死>を図る事。それぞれ事情を抱えた一同は「ひとりで死ぬのは怖いけど、複数でなら死にたい」と考えて募集してきたのだ。ルールでは人数が揃い次第、全員の意思を確認した後に、計画は速やかに実行される。ところがナンバーリングされた「1番」のベッドに既に冷たくなった男性が横たわっている。11人は主催者の1番が先行して実行したのだろうと考えた・・・その時!「1番」の主催者・サトシが遅れて入室して来たのだ!!
 十二人の筈が十三人いる・・・。「1番」のベッドに横たわっている少年は誰なのか?何故、ここで死んでいるのか?サトシもその少年の事は知らないと言う。もし仮にこのまま自殺して警察が発見した場合、「12人が謎の1番に殺された」、あるいは「12人が謎の1番を殺して集団自殺した」と不名誉な疑いをもたれる可能性がある。そこで一同は、この死体の謎を解明する事にするのだが・・・!?


 「自殺サイト」で集まって集団自殺する(練炭使用)という設定は・・・いかにも“SNS時代”ですなぁ。ちなみに映画のコピーでは「密室ゲーム」と書かれてるけど、確かに<1シチュエーションドラマ>ではあるんだけど(基本、カメラは病院から出ない)この廃病院は<出入り自由>で決して密室ではないので、アガサ・クリスティーばりの設定を期待しないよう御注意^^!
 監督は堤幸彦。“少年少女たちのミステリー”といえば、彼の出世作となった連ドラ「金田一少年の事件簿」シリーズが想起されるけど・・・筆者曰く「TVドラマは天才、映画は普通」の堤さん。今作で、あの天才的カメラワークが発揮される事を期待したのだが・・・今回もなかった。これは筆者が勝手に思ってた事なので、堤さんに何の責任もありませんが。筆者は未読ながら原作は緻密に伏線が張られた小説らしいので、そこの辺りは分かりやすく見せてくれているので良かった。
 俳優陣は(物語の設定上もあり)杉咲花新田真剣佑高杉真宙ほか若手俳優が集結。皆、これまでのイメージとは異なるキャラを熱演してるんだけど・・・筆者が仕事上知ってるせいもあるんだけど、ほとんど「成人」さん!ちょっと「子どもたち」には無理があったかな〜。実際には二十歳越えてるのに高校生役演じる昭和の学園ドラマを思い出してしまった(苦笑)。でも、杉咲花はいい味出してたと思う。ちなみに顔隠して出てくる「4番」は誰が演じているのか、後日発表されるそうなので、そこはご注目あれ^^!

 筆者はミステリー映画も推理小説も大好きなので・・・終盤、なんとなく犯人わかっちゃった。特に最後の最後のオチは誰もが予想できる。お話自体は面白いんだけど・・・ミステリー映画としては個人的にはサプライズがないんで及第点かな。全体的に同じトーンで進むので、<謎解き>に入る下りは少しトーンを変えてメリハリを付けた方が良かったかもしれない。
 あまり今回は褒めてないけど、決して駄作ではないのでミステリー好きな方は是非来年、劇場に足をお運び下さい^^

 
 <どうでもいい追記>話題になったミステリー小説「屍人荘の殺人」の実写映画化決定。最近は話題作の映画化早っ(苦笑)!この原作は既に読んでるのであえて書くけど・・・予算はかけて欲しいな〜!特に●●●がチャチかったら、目も当てられないので・・・スタッフの方、マジで頼みます!!