其の680:2018年ミニミニ総括

 2018年も本当に残り僅かとなりました。よって2018年、平成最後、恒例の<総括>を行います。なんか・・・無理矢理更新してる気がしないでもないけど(苦笑)。

 以下、劇場で観た作品がこちら(試写会、テレビ放送、ソフトでの視聴は除きます)


 1:「祈りの幕が下りる時」(2月)
 2:「北の桜守」(3月)
 3:「ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書」(4月)
 4:「レディ・プレイヤー1」(4月)
 5:「クレヨンしんちゃん 爆盛!カンフーボーイズ〜拉麺大乱〜」(5月)
 6:「ミッション:インポッシブル/フォールアウト」(8月)


 ・・・以上6本!!多忙&個人的にそんなに観たい映画がなかったのもあるけれど、これは少なすぎる。話題になった「カメラを止めるな!」も「ボヘミアン・ラプソディ」も観てないし、試写会足しても9本だから<ベスト10>すら選べない(苦笑)。物心ついてから映画館に行ったのが最小本数となった年になった。

 だけれども、スティーヴン・スピルバーグの「ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書」は良かった。よくキャロル・リードの「第三の男」やマーティン・スコセッシの「レイジング・ブル」あたりが<完全映画>と言われますが、この「ペンタゴン〜」もそのカテゴリーに入る作品だと思う。脚本、撮影、俳優の演技、編集、音楽・・・どれも非の打ちどころがない。これを観れただけでもいい年だったと思う。「レディ・プレイヤー1」は、「ペンタゴン〜」よりは落ちたけど、敬愛するスピルバーグの作品が1年に2本も観れたのは・・・マジで良かった良かった^^。

 あとは観た本数少なすぎて・・・何も言えねぇ(北島康介風:苦笑)!

 
 今年は・・・実父が亡くなった他、プライベート的には激動の1年だった。改めて周囲を含めて年を取ったと思ったし、同世代の著名人たちが亡くなった事で自分の死さえも意識するようになった。あとどれだけ余命が残されているのかは分からないけど・・・映画鑑賞とミステリー小説の読書だけは数少ない趣味として、最後まで続けていくつもりです。

 それでは皆様、また来年^^!良いお年をお迎え下さい。新たな元号含めて<2019年>は・・・どんな年になりますやら?!

 



 

其の679:前衛青春映画「初恋・地獄篇」

 もうじき2018(平成30)年も終了・・・。子供の時と比べて、二十歳越えると1日があっという間に終わる事は分かっていたけど、アラフィフのいまは年単位で過ぎるのが本当に早くて困ってしまう(汗)!

 ・・・で本題。紹介する映画は「初恋・地獄篇」(’68)。年末というのにタイトルが凄すぎる(笑)。監督は一連のドキュメンタリー作品でも知られる羽仁進(昔はよくメディアにも顔出てましたな)。現在隆盛の「胸キュン映画」とは真逆の青春・・・が展開されます!


 シュン(=高橋章夫)はナナミ(=石井くに子)という少女と出会った。2人はそのままホテルへ行くものの、未経験で彼女に気後れした彼は体を交わす事が出来ずにその日を終える。シュンは幼い時に父と死別。母親の再婚によって孤児となったが、彫金師の夫婦に引き取られて成長した。一方、ナナミは集団就職で上京したものの、勤めていた工場は賃金が安い上に、給料の遅配もあり、いまはヌードモデルをしている。そんなある日、ナナミは常連の中年男性に誘われ、女同士が戦う“女闘美(俗にいう「キャットファイト」)”に参加する。偶然、その姿を覗き見たシュンだったが、見張りの男に追い返される。その後、シュンはナナミが勤めるヌードスタジオの入り口を見張って、彼女が中年男性と歩く様子を目撃するが・・・!?

 
 <出会ってすぐの男女がろくに相手の事も知らぬまま性交>・・・先日亡くなったベルナルド・ベルトルッチの大ヒット作「ラストタンゴ・イン・パリ」(’72)を彷彿とさせるシチュエーションだが、こちらの方が4年も早い。

 映画は商業映画(←でも「ATG」ゆえ女性の裸がバンバンに出るので、当時は「18禁」)ながら、即興演出にドキュメンタリーの手法(手持ちカメラや隠し撮りの多用)を加味&アヴァンギャルドなイメージシーン、8ミリフィルムの使用(映画はモノクロだけど、ここだけカラー)など、実験映画、前衛映画の要素と混然一体となった異色作品となっている。観ていても「このカット、必要ある?」なんて時々思った(笑)。あらすじでは書かなかったけど、シュン君には他にもちょいちょい色んな事件があって・・・マジ大変な青春時代!!
 「脚本」はクレジットでは才人・寺山修司と羽仁の「共同脚本」となっているものの、実際は羽仁の原案、オリジナル脚本であり、寺山は基本「名義貸し」。一部アイデアを出したりはしたものの、ガッツリ書いてはいなかったそうだ。ヒロインが働く「ヌードスタジオ」なる風俗は・・・“時代”だなぁ。筆者も知らん(笑)。お金払って、パンツ以外は脱いで貰うというシステム(お触りなし)は、マジックミラーのない「のぞき部屋」みたいなものか?!いまも「のぞき部屋」ってあるのかさえ知らんけど(苦笑)。
 古い話で恐縮だがATG(日本アート・シアター・ギルド)は60年代の終わり頃から、約1000万円の製作費を独立プロとATGが折半する「一千万円映画」というものをスタートして、今作はその先駆けともいえるもの。羽仁監督は厳しい予算の中、オールロケ(当時の新宿駅や上野公園の様子が分かる)で基本「一発撮り」。同時録音せず、1回目に映像を撮って、2回目に同じ事をやらせて音声を録る(録音スタジオの経費削減。映画観てると唇と声のタイミングが妙にズレてる^^)。撮影中は現地集合、現地解散(電車がある内に帰らせて、車両費削減)。あるいは朝まで撮って電車で帰らせていたらしい。予算がない現場での気持ちは・・・同じ映像の仕事してるから、筆者もよ〜く分かる(苦笑)。
 ドキュメンタリー出身の監督さんは既成の俳優ではなく、色のついていない素人を起用する傾向が多分にありますが・・・主人公・シュン役の高橋章夫は羽仁監督が当時18歳の彼(大学受験前の高校生)を銀座でスカウト。もち、演技初挑戦!ヒロインのナナミ役の石井くに子は一般募集して応募してきた中からの選出。予算の都合でメイクさんやスタイリストも不在で、衣装は全て自前だったとの事。他も大勢、スタッフが兼任してちょい役出演しているという。劇中、主人公と絡む幼い女の子は監督の実の娘(後にエッセイストとして活躍した故・羽仁未央)。皆それぞれ職業俳優にはない、独特の存在感がある。

 「シュールな作品」ではありますが「名義貸し」の条件で撮影現場を見学した寺山がその後、監督業にも進出するきっかけにもなったと言われる今作(そして寺山の監督作もシュール)。かのキューブリックによるSF映画の金字塔「2001年宇宙の旅」もこの年の公開だったし、1968(昭和43)年は世界映画史において本当に重要な年だったなぁ!!!

其の678:「十二人の死にたい子どもたち」寸評

 先日、来年公開のミステリー映画「十二人の死にたい子どもたち」を試写会で観ました(めちゃめちゃ久しぶりに行った試写会)。原作は映画化もされた「天地明察」の著者でアニメの構成も手掛ける才人・冲方丁の同名小説(2016年、第156回直木賞候補作)。公開前ですので、さくっと書いてみようかな、と思います。勿論、ネタバレなし!!


 サイトの主催者・サトシ(=高杉真宙)の呼びかけに応じ、12人の未成年達(=杉咲花新田真剣佑北村匠海ほか)が廃病院の地下にある多目的ホールに集まった。彼らの目的は皆で同時に<集団安楽死>を図る事。それぞれ事情を抱えた一同は「ひとりで死ぬのは怖いけど、複数でなら死にたい」と考えて募集してきたのだ。ルールでは人数が揃い次第、全員の意思を確認した後に、計画は速やかに実行される。ところがナンバーリングされた「1番」のベッドに既に冷たくなった男性が横たわっている。11人は主催者の1番が先行して実行したのだろうと考えた・・・その時!「1番」の主催者・サトシが遅れて入室して来たのだ!!
 十二人の筈が十三人いる・・・。「1番」のベッドに横たわっている少年は誰なのか?何故、ここで死んでいるのか?サトシもその少年の事は知らないと言う。もし仮にこのまま自殺して警察が発見した場合、「12人が謎の1番に殺された」、あるいは「12人が謎の1番を殺して集団自殺した」と不名誉な疑いをもたれる可能性がある。そこで一同は、この死体の謎を解明する事にするのだが・・・!?


 「自殺サイト」で集まって集団自殺する(練炭使用)という設定は・・・いかにも“SNS時代”ですなぁ。ちなみに映画のコピーでは「密室ゲーム」と書かれてるけど、確かに<1シチュエーションドラマ>ではあるんだけど(基本、カメラは病院から出ない)この廃病院は<出入り自由>で決して密室ではないので、アガサ・クリスティーばりの設定を期待しないよう御注意^^!
 監督は堤幸彦。“少年少女たちのミステリー”といえば、彼の出世作となった連ドラ「金田一少年の事件簿」シリーズが想起されるけど・・・筆者曰く「TVドラマは天才、映画は普通」の堤さん。今作で、あの天才的カメラワークが発揮される事を期待したのだが・・・今回もなかった。これは筆者が勝手に思ってた事なので、堤さんに何の責任もありませんが。筆者は未読ながら原作は緻密に伏線が張られた小説らしいので、そこの辺りは分かりやすく見せてくれているので良かった。
 俳優陣は(物語の設定上もあり)杉咲花新田真剣佑高杉真宙ほか若手俳優が集結。皆、これまでのイメージとは異なるキャラを熱演してるんだけど・・・筆者が仕事上知ってるせいもあるんだけど、ほとんど「成人」さん!ちょっと「子どもたち」には無理があったかな〜。実際には二十歳越えてるのに高校生役演じる昭和の学園ドラマを思い出してしまった(苦笑)。でも、杉咲花はいい味出してたと思う。ちなみに顔隠して出てくる「4番」は誰が演じているのか、後日発表されるそうなので、そこはご注目あれ^^!

 筆者はミステリー映画も推理小説も大好きなので・・・終盤、なんとなく犯人わかっちゃった。特に最後の最後のオチは誰もが予想できる。お話自体は面白いんだけど・・・ミステリー映画としては個人的にはサプライズがないんで及第点かな。全体的に同じトーンで進むので、<謎解き>に入る下りは少しトーンを変えてメリハリを付けた方が良かったかもしれない。
 あまり今回は褒めてないけど、決して駄作ではないのでミステリー好きな方は是非来年、劇場に足をお運び下さい^^

 
 <どうでもいい追記>話題になったミステリー小説「屍人荘の殺人」の実写映画化決定。最近は話題作の映画化早っ(苦笑)!この原作は既に読んでるのであえて書くけど・・・予算はかけて欲しいな〜!特に●●●がチャチかったら、目も当てられないので・・・スタッフの方、マジで頼みます!!

 
 
 

其の677:<番外編>某映画誌80年代ベスト10

 12月も下旬です。今年も残り僅か・・・。

 前回に続きまして某映画誌(あくまで某です。あしからず)の<1980年代ベスト10>を紹介していこうかな、と。本当は来年にしようと思ったけど、なんか年内に書いた方がスッキリする気がして^^。「80年代」は筆者が少年時代から思春期を過ごす&成人もした、ある意味、人生の中で最も重要な10年(感慨深い)。

  
 まずは洋画のベスト10です。年は本国の公開年にしてますのでご注意。

 第1位:「ブレードランナー」(’82・米)
 第2位:「ストレンジャー・ザン・パラダイス」(’84・米=西独)
 第3位:「バック・トゥ・ザ・フューチャー」(’85・米)
 第3位:「非情城市」(’89・台湾)
 第5位:「E.T.」(’82・米)
 第5位:「動くな、死ね、甦れ!」(’89・ソ連
 第5位:「男たちの挽歌」(’86・香港)
 第5位:「友だちのうちはどこ?」(’87・イラン)
 第5位:「最前線物語」(’80・米)
第10位:「グロリア」(’80・米)
第10位:「ニュー・シネマ・パラダイス」(’88・伊=仏)
第10位:「ブルース・ブラザース」(’80・米)

 
 ・・・というラインナップでした!にしても「第5位」が多いな(苦笑)。
 1位の「ブレラン」は公開当時はコケたけど、ビデオ時代の到来でカルト映画から名作にジャンプアップした稀有な作品(リドリー・スコットも喜んでいると思う)。筆者も1位、異議なし!!今作も「スター・ウォーズ」同様、遥か後に続編観る事になるとは、当時は誰も思わなかった(笑)。
 説明不要の超ヒット作「E.T.」は公開された中学生当時、「アメリカでは2人に1人は観てる大ヒット作!」とマスコミに煽られまくってたので、早朝友人たちと並んで観た映画。いまと違って昔は席の事前予約は出来なかったから、話題作は早くから並ぶしかない訳よ。でも映画は感動したし、早起きして並んだ甲斐は十分にあったわ^^。
 「男たちの挽歌」は落ち込んでる時に大学サボって観に行って(こらこら)、チョウ・ユンファ達の2丁拳銃による凄まじいガン・アクションに大興奮して元気を貰った作品。映画館出る頃には、すっかり立ち直れた記憶あり(笑)。
 「ニュー・シネマ・パラダイス」は素直にいい映画!映画が好きである事を良かったとマジで思える傑作。エンニオ・モリコーネの音楽も最高にいいし。これをきっかけに筆者は延々、ジュゼッペ・トルナトーレの新作が公開される度に劇場に足を運ぶようになった。ちなみに「劇場公開版」と「完全版」があるけれど、筆者は最初の「劇場公開版」の方が好き。成長したトトが娼婦を買うシーンは・・・いま観直しても嫌だな〜(トトには申し訳ないけど)!
 改めてラインナップ観ると・・・「ロシア」じゃなくて「ソ連」の表記、懐かしいな〜。まさに「時代」ですね^^。


 続いて邦画です。

 第1位:「家族ゲーム」(’84)
 第2位:「ツィゴイネルワイゼン」(’80)
 第2位:「ゆきゆきて、神軍」(’87)
 第4位:「戦場のメリークリスマス」(’83)
 第5位:「その男、凶暴につき」(’89)
 第6位:「台風クラブ」(’85)
 第7位:「転校生」(’82)
 第8位:「風の谷のナウシカ」(’84)
 第9位:「Wの悲劇」(’84)
第10位:「どついたるねん」(’89)
第10位:「となりのトトロ」(’88)


 ・・・という順位だそうです。どれも懐かしいなぁ^^!
 現在の<邦画バブル>しか知らない若い人には想像つかないかもしれないけど「80年代の日本映画」はすっかり下降気味&「ダサい」と言われて、一番ダメな時代だった。筆者も洋画観る方が圧倒的だったし。そんな80年代の第1位が天才モリタの「家族ゲーム」・・・ベストチョイス!本当にこの映画は新しいことをバンバンやってたと思う。でもその影響か、一時期日本映画は意表をついたアングルとかで撮られる映画が増えちゃって、観ていて「ここは普通に撮ればいいのに」とか思った事も多々あったな^^。
 80年代は「異業種監督」が多かった時期でもある(映画を売る為の話題作りも兼ねて)。そんな中、ビートたけし北野武名義)が初めて映画を撮ったのが「その男〜」。これも新しい事、バンバンやってた一作!犯人追いかけた刑事が疲れて歩いてるシーンは・・・「太陽にほえろ!」観てた世代としては絶対ありえなかった名演出(笑)。また、暗いお話なのに、観終わると何故か元気が出る不思議な作品でもある。その後、巨匠になってフランスで勲章まで貰うたけしさんを当時は誰も予想していなかった。たけしさん、すみません!
 あとは筆者が唯一ファンだった薬師丸ひろ子の代表作の1本に、「日本のディズニー」化する前の宮崎アニメ(当時は「ジブリ作品」とは言わなかった)が2本ランクイン(凄っ)!筆者はあくまで「カリ城」至上主義だけど^^。
 
 こう観ると、日本映画は大作映画がほとんどなくて(斜陽産業だったから)、作品規模的には小粒だけど、なかなかいい映画がありましたね!個人的にも人類的にも1980年代は・・・一番いい時代だったような気もする。80年代の日本はバブル経済もあったし、デジタル時代のいまほど、世の中複雑じゃなかったし。全ては21世紀のいま、考えてみればだけどね・・・。

 いつか「1990年代ベスト」が発表されたら、また紹介しようと思いマス。意表をついて「1960年代ベスト」とかに逆行したりして(笑)!?


 

其の676:<番外編>某映画誌70年代ベスト10

 2018年も残り1か月を切りました・・・。平成最後の正月が近づいてきていますが・・・特に何も年明けの準備してない(苦笑)!

 
 個人的に今年は物心ついてから一番映画館に行ってない年になっていて、マジでヤバい(汗)。そんな中、先日、某老舗映画雑誌(あくまで某ですよ、某!)がアンケートをとって1970年代の邦画・洋画ベスト・テンを掲載しました(こういう企画は筆者も好き❤)。70年代は筆者にとって幼少期から少年時代を過ごした大事な時期でもあるので(勿論、映画に開眼したのも70年代だ)それぞれの上位ベスト10を紹介したいと思います。若い人は鑑賞の参考にしておくんなまし^^。

 まずは我が日本国のベスト10から(票が同数の場合は同じ順位です)。

 1位:「太陽を盗んだ男」(’79)
 2位:「仁義なき戦い」(’73)
 3位:「新幹線大爆破」(’75)
 4位:「ルパン三世 カリオストロの城」(’79)
 5位:「HOUSE ハウス」(’77)
同5位:「復讐するは我にあり」(’79)
 7位:「犬神家の一族」(’76)
 8位:「砂の器」(’74)
 9位:「青春の蹉跌」(’74)
同9位:「竜馬暗殺」(’74)

 
 ・・・という結果になってます。さすがにこれ全部は観てないけど大半は観てますなぁ。<70年代>は日本映画黄金時代も終わってて、学園紛争が終息を迎え、若者達が「やっぱり国家権力には敵わねぇ」と“シラケた”暗〜い&重〜い時代。その反動で“ネアカ”な80年代が来る訳ですが、1位の「太陽を盗んだ男」は、70年代最後の年に公開されたパワー溢れた作品!こんな凄い設定の作品はそうはないよなぁ。監督は今や生きるレジェンド・長谷川和彦、加えて主演はあの沢田研二!!遥か後にコンサートをドタキャンして騒動になろうとは、この時、誰も予想してない(苦笑)。
 筆者が唯一100回観ていて、個人的邦画ベスト1の「ルパン三世 カリオストロの城」が入ってて良かった^^。筆者は誰が何と言おうと宮崎駿監督の劇場映画最高傑作は「カリ城」だと確信している。
 あと「犬神家の一族」は筆者にトラウマを与えた忘れえぬ一作。「犬神家」がきっかけで筆者はすっかり推理小説ファンになった&尊敬する人物のひとりに実在していないのに金田一耕助も挙げるように(馬鹿か)。余談だが、金田一さんは事前犯罪防御率ほぼ0%ではあるけどね(苦笑)。
 俯瞰でこのベストを見るとエンタメ作から社会派ミステリー、実話系と幅広く入っていて・・・なかなかバランスがとれたラインナップになってるなぁ、と。70年代の日本はアニメブームの始まりでもあったので、個人的には「さらば宇宙戦艦ヤマト」とか「銀河鉄道999」がもっと上位にきて欲しかったけどさ。

 後に「2010年代日本映画ベスト」のアンケートとったらベストセラー小説の映画化、それに少女漫画の実写映画ばっかりになりそうな・・・。

 
 続いて「洋画」ベスト10です。年号は製作年です。日本公開年ではありませんのでご注意。

 1位:「タクシードライバー」(’76・米)
 2位:「ダーティハリー」(’71・米)
 3位:「スター・ウォーズ」(’77・米)
 4位:「ゴッドファーザー」(’72・米)
 5位:「旅芸人の記録」(’75・ギリシャ
 6位:「未知との遭遇」(’77・米)
 7位:「JAWS ジョーズ」(’75・米)
同7位:「時計じかけのオレンジ」(’71・英=米)
同7位:「ミツバチのささやき」(’73・スペイン)
10位:「地獄の黙示録」(’79・米)

 
 これは日本の特色かもしれないけど・・・世界中で毎年、山ほど映画は作られているのに・・・ハリウッド映画ばっかり(驚)!!で、筆者はアメリカン・ニューシネマ好きでもあるので、結構リアルタイムで観てるし(←昔は町のあちことに2本立て、3本立ての「二番館」、「三番館」があったのよ^^)、このリストの大半のDVDを持ってる(苦笑:日本人だなぁ・・・)。
 個人的にも「タクシードライバー」1位に何の異論もない。あの空気感こそ70年代のアメリカよ!よくマーティン・スコセッシロバート・デ・ニーロのコンビ最高傑作は「レイジング・ブル」と言われるけど、筆者は「タクドラ」(・・・って略すか?)こそ最高傑作だと思ってるし。
 クリント・イーストウッド主演作「ダーティハリー」は刑事ドラマのフォーマットを作ったといっても過言ではないし、「スター・ウォーズ」は現在のSFXにつながる基礎ともなった<世界映画史>を語る上でも外せない一作。ただ、当時、この映画の続編をアラフィフになる21世紀まで観る事になろうとは夢にも思わなかった(苦笑)。
 10作中、スティーヴン・スピルバーグ2本にフランシス・フォード・コッポラが2本。筆者がスピルバーグのファンになったのもわかるよなぁ。完全に時代の洗礼を受けている(笑)!
 日本では<カンフーブーム>もあったから個人的にはブルース・リーの「燃えよドラゴン」(’73・米)や、来年スピンオフが公開される「ロッキー」(’76・米)も10位内に入っててよかった思う。あと、これが「映画秘宝」だったら「ゾンビ」(’78・米)と「悪魔のいけにえ」(’74・米)もベスト10入り確実(笑)!!
 
 70年代は興行的に落ち込んだハリウッドが映画作家の時代になった・・・と思いきや「スター・ウォーズ」ほかの大ヒットがきっかけで、再びスタジオのプロデューサーが権力を握り、予算をかけた大作がほとんどの劇場を埋め尽くすブロックバスター方式を生む時代の始まりでもあった(その辺りの歴史的興味がある人は個人的にも調べてね★)。そんな21世紀の今ではアナログからデジタルの移行が進んで、フィルムでの撮影は少数となり、映画館はシネコンが激増・・・。この2010年代、後に歴史家はどんな時代だったと記すのか・・・興味深いところだ。
 

 さて、今回取り上げた某老舗映画誌は、今度は1980年代のベスト10発表をスタートさせた!機会があったら来年のよき時に・・・取り上げようかしら?予定はあくまで予定なので、あしからず^^


 

其の675:ベルトルッチ追悼「暗殺のオペラ」

 もう11月も終わり。2018年も・・・残り1か月(早っ)!!!

 イタリア映画界の巨匠ベルナルド・ベルトルッチが亡くなられた。享年77。ベルトルッチといえば問題作「ラストタンゴ・イン・パリ」や米・アカデミー賞受賞作「ラストエンペラー」で知られる監督(個人的には「1900年」が最高傑作だと思う)。そのベルトルッチの初期作「暗殺のオペラ」(’70)は長い間、権利の問題でDVD化されなかった“幻の作品”。それがつい先日、DVDとブルーレイが発売され、喜んでソフトを買って観たら・・・その2日後にこの訃報(驚いた)!!そんな個人的経緯も含めて、今回「暗殺のオペラ」を書く事にしました。筆者的な追悼・・・でもあります。


 1960年代、北イタリア・エミリア地方ー。小さな町「タラ」の駅に青年アトス(=ジュリオ・ブロージ)が降り立った。約30年前のこの町で、彼の父にして同じ名前のアトス・マニャーニ(=ジュリオ・ブロージの2役)は反ファシズム抵抗運動の闘士として命を落とし、いまでは英雄として町のあちこちに彼の名がついた広場や建物、胸像が建てられていたのだが・・・何故か町には老人と子供の姿しかない。
 アトスを町に呼んだのは、父のかつての愛人ドライファ(=アリダ・ヴァリ)で、父・アトスの暗殺事件が現在も謎の為、その真相を息子である彼につきとめて欲しいという依頼だった。父アトスは1936年6月15日の夜、新装のオペラ場でジュゼッペ・ヴェルディのオペラ「リゴレット」の観劇中、何者かの銃によって背中を撃たれて殺された。事件後すぐ、アトスの妻は町を出ていったのだが、ドライファによると、警察は彼がムッソリーニの黒シャツ隊のファシストと日頃反目していた事、更に遺体から匿名の手紙が発見され「アトスが劇場に入れば命はない」という脅迫文が書かれてあった事から、余りにも明白な犯行として捜査をいい加減にしたという。話に乗り気のしない息子アトスだったが、その夜、何者かに馬小屋に閉じこめられ、朝には見知らぬ男から暴行される。真相を探る為、かつて父と共闘していた抵抗運動の生き残り3人との接触を試みるアトスだったが・・・!?


 アルゼンチンの作家、ホルヘ・ルイス・ボルヘスの僅か10ページにも満たない超短編「裏切り者と英雄のテーマ」を元にベルトルッチらが大胆に脚色。イタリアの“テレビ用映画”として製作され、海外では劇場公開された。スティーヴン・スピルバーグの「激突!」とかと同じパターンですな^^。
 なにより重要なのは、この「暗殺のオペラ」がベルトルッチと天才撮影監督ヴィットリオ・ストラーロと本格的に仕事をした作品という事(→フランコ・ディ・ジャコモと共同撮影)!ミステリー仕立てのストーリーながら、北イタリアの田舎町の風景が本当に美しいー。ベルトルッチマグリットやガブエの絵画を参考にして、今作の色彩や光を決定したという。ストラーロはこの当時、まだ一人立ちして間もない時期だったけど、撮影台本に全シーンの照明プランを詳細に書き込む事で有名だから・・・今作でも燃えに燃えてアイデアを考えたのではないか。後年、ベルトルッチは「ヴィットリオは光の絵筆を持っている」という発言をしているが、ストラーロにおいても初期作のこの作品でも、彼の映像美を充分に堪能出来る。また、この作品当時、ベルトルッチ弱冠29歳!!若い時って、意表を突いたカメラワークとかをやりがちなんだけど・・・今作では<移動撮影>を多用。時には人物をカメラが追っていたら何気にカメラを追い抜いたりもするシーンもあったりして「遊んでるな〜❤」と筆者的には微笑ましく鑑賞した次第^^。
 現在をベースに過去のシーンがちょいちょい入ってくる構成なんだけど、息子と殺された父親をジュリオ・ブロージが2役で演じるほか、過去のシーンでも出てくる人が“若作りメイク”せずに出てくるんで・・・段々、観ていて時間軸が曖昧になってくる不思議な感覚に。この狙いの演出にも、若きベルトルッチの才気がうかがいしれよう^^。
 出演俳優陣としては・・・やっぱりアリダ・ヴァリの存在が大きい。彼女はイタリア人ながら、誰もが知る名作「第三の男」やハリウッドのヒッチコック作品にも出演されたワールドワイドな大女優。この作品では大分お年を召されているけど、その貫禄たるや!素敵な女優さんだったと思う。

 
 意外な真実が分かってスッキリ終わるかと思いきや「・・・!?」というラストシーン。当然、このブログでは書かないので、興味ある方は作品を観てちょんまげ(死後)。「大傑作!」・・・とまで筆者は褒めないけど、若きベルトルッチがやる気マンマンで作った秀作だ。


 またひとり、偉大な監督が亡くなってしまった。ホント、悲しいわ・・・。彼と「ラストエンペラー」ほかで仕事した坂本龍一さんもショック受けたと思うなぁ・・・。

其の674:来年、続編公開「IT」短評

 11月に入ったと思ったら早くも下旬に!!マジ忙し過ぎて何もしてないぞ・・・(焦)。

 
 殺人的スケジュールの中、ようやく観賞した内の1本がスティーヴン・キングのホラー小説「IT-イット-」の2度目の映像化、「IT/イット “それ”が見えたら、終わり。」(’17・米)。
 決して熱心なキングの読者ではない筆者は最初のテレビシリーズも未見だし、今作について大して予備知識もないまま観たのだけれど・・・映画は面白かった^^!!来年、続き(チャプター2)も公開予定なのでネタバレしない&興ざめしないようサクッと書きます。本当にサクッと^^


 
 1980年代末、アメリカのある田舎町で・・・。少年・ビルの幼い弟が大雨の日に外に出た際、大量の血痕を残したまま行方不明になった。この町では児童が行方不明になる事件が相次いでいた。翌年、ビルや仲間たちの前に“それ(IT)”が突如現れるては襲撃されるようになって・・・!?
注)あまりメジャーな俳優さん達が出ていないので、そこんことは割愛しました。

 
 キングの長〜〜い原作を「子供時代のみ」に話を絞って分かりやすく&「時代設定を80年代に変更」した事で、劇場に足を運ぶ世代のノスタルジー(郷愁)をかき立てた事が大ヒットした要因だと思われる。現に筆者も80年代に思春期を過ごしたその世代のひとり^^。

 観た感想としては、同じくキングの「スタンド・バイ・ミー」のメンバーに女子を加えて(当然、メンバーにはデブも在籍^^)ホラーテイストを加えた“少年少女青春もの”といったところか。最新技術も駆使して“それ(IT)”が描かれるんだけど、めちゃめちゃ怖い・・・よりは怖さを越えて爆笑したところも多々あり。単に恐怖するだけの映画じゃないのもグー。

 「スクール・カースト」の底辺に所属する主要メンバー(少年少女たち)それぞれに個人的&家族的に問題があるところも描かれていて、そこらへんの共感もヒットにつながった気もする。イジメっ子は最終的には●●という人生の教訓も描かれる(笑)。しかし、この町の大人たちは何故全員怖いのか(苦笑)!?筆者的には“それ”よりも大人たちの方が恐怖だったわ^^。

 監督はアルゼンチンのアンディ・ムスキエティアンドレス・ムシェッティと表記される事も)で年齢40代半ば。商業映画2作目で、この完成度は大したもの。続編も監督するとの事なので、大いに期待したい・・・けど大ヒットの後だけに、プレッシャーでめっちゃスベったりして(苦笑)。


 <続編>といえば来年1月公開の「クリード」の2作目。なんとアポロの息子が親父を殺したドラゴ(=ドルフ・ラングレン)の息子(・・・あんな怖い嫁さんとの間に子供いたんか)と戦うという凄い内容!!80年代に思春期を過ごした世代としては、これは燃えるね(萌えじゃないよ)❤

 さらに「ガンダム」は小説「閃光のハサウェイ」が映画化決定(驚)!!次の「ハリウッド版ゴジラ」にはキングギドラも出るとか・・・あっちゃこっちゃ凄いことになってきたな🎵