其の149:1粒で2度おいしい「忠臣蔵外伝四谷怪談」

 「第九」同様、日本の年末の<定番>のひとつー「忠臣蔵」。親と一緒にこれまで何度観たことか(苦笑)。歴史家に言わせると、当時このようなお家取り潰し等は割と多くあったそうで家臣たちは泣き寝入りするしかなかった。それを<例外的>に仇討ちしたからこそ、民衆は拍手喝さい!歴史に名をとどめる事になったのだそーです。
1994年・秋にこの「忠臣蔵映画」が2本も公開されました。市川崑監督・スーパースター高倉健さん主演の「四十七人の刺客」。そして、もう1本が今回取り上げる「忠臣蔵外伝四谷怪談」!高岡早紀が<巨乳>を披露した作品としても知られている(笑)。


 時は元禄。長いこと苦労して、ようやく浅野家の家臣として取り立てられた民谷伊右衛門佐藤浩市)。だが、例の「松の廊下」での刃傷沙汰による赤穂藩取り潰しによって、あえなく浪人生活に逆戻り!大石内蔵助津川雅彦)らは密かに仇討ちを画策する。その頃、伊右衛門はお岩(高岡早紀)という湯女と出会うのだが・・・。


 「忠臣蔵」も「四谷怪談」もご存知のように<実話>。そもそも江戸時代後期の狂言作家・鶴屋南北による「東海道四谷怪談」では主人公の伊右衛門は<赤穂浪士>という設定で、「忠臣蔵」と「四谷怪談」は<コインの表と裏>の意味合いで当時は舞台で日替わり上演されていたのだそうです。今作はいつのまにか別々となった2作が合体!「討ち入り(アクション)」プラス「怪談(ホラー)」と異なるジャンルが1本で楽しめる(お得?)。監督・脚本の故・深作欣二による、いつものパワフルな演出が見もの!クライマックスにあたる実際の「討ち入り」の日に雪が降っていなかった事は今では有名なトリビアですが、この辺の<お約束演出>もちゃんと取り入れられております。


 主演の佐藤浩市はお岩を妻としたものの、あっさり金持ち女(荻野目慶子)に誘惑されて身を滅ぼすダメ男を好演!しかし、高岡早紀扮するお岩さんの職業が「湯女(=いまでいうソープ嬢)」とは・・・(苦笑)。「日本アカデミー賞」の時、高岡の魅力を尋ねられた深作監督は「バスト!」だとはっきり言い切ったのが今でも忘れられない。彼女を「湯女」にしたのは深作の確信犯とみた(笑)。まぁ、彼女は今作の演技で一躍トップ女優になったから「脱ぎ損」にならなかったのは幸いである(今度、ドラマ「愛の流刑地」のヒロインに扮する彼女だがーやっぱ脱ぐんだろうねぇ)。


 冒頭、説明した「四十七人〜」と競合した本作は「四十七〜」より遅れて企画され、予算も少なかった後付けでありながら、数々の賞に輝きました!かくして市川監督の「様式美」より高岡の「巨乳」が勝ったという結果に終わったのである(そんな単純じゃないって:笑)。