<其の790>ケイパー(襲撃)映画の古典!「アスファルト・ジャングル」

 あっという間に2月も中旬になりました。先日、トルコとシリアで大地震が発生!

一人でも多く救助される事、そしてその後の早い復興をお祈りします。

 

 本来の映画の話。筆者の勉強不足かもしれないけど、ふと思うに・・・近年、“ケイパー(襲撃)もの”ってなくないすか?「オーシャンと十一人の仲間」(’60)をリメイク&シリーズ化したものが終了して以来、ほとんど記憶に・・・ない。「ルパン三世」じゃないけど、警戒厳重な銀行なり宝石店から盗み出すハラハラドキドキ・・・のサスペンスも筆者は大好きなのよ^^。そんなケイパーものが歴史の彼方に忘れ去られないように、今回取り上げるのは「アスファルト・ジャングル」(’50・米)!!ごめん・・・名作です。B級エログロ・ブラックコメディーの「フランケンフッカー」よりは・・・やっぱこっちだよね(笑)。今作は大スターになる前のマリリン・モンローが出演していて、いい味出してる事でも有名だけど・・・ただ、なんか長い間忘れられてる作品っぽい感じが個人的にしたので、そこを再び浮上させようというのが今回の試み。「コンクリート・ジャングル」という似たようなタイトルの映画もあるので御注意。

 

 アメリカのとある街ー。犯罪歴のあるディックス(=スターリング・ヘイドン)は生まれ故郷の牧場を買い戻すべく、競馬に明け暮れる荒んだ日々を送っていた。そんなある日、知能犯として知られるドク(=サム・ジャッフェ)が出所。ノミ屋のコビーに宝石泥棒の計画を持ち掛ける。2人は大物弁護士ながら、裏では犯罪にも加担するエメリヒより資金提供を取り付け、金庫破りのプロの他、ディックスとその友人ガスを仲間に引き入れる。ドクの指揮の下、彼らは計画を実行に移したのだが・・・!?

 

 W・R・バーネットの原作をジョン・ヒューストンが監督(共同脚本も)。アメリカ映画が好きだったジャン=ピエール・メルヴィル監督は今作を「賭博師ボブ」や「仁義」のお手本にしている。スターリング・ヘイドン(←後にキューブリックのケイパーもの「現金に体を張れ」でも主演)を中心に多彩なキャラクターが登場。誰もがいう事だけど・・・その描き分けが素晴らしい。泥棒メンバーはなんらかの事情を抱えていて、この仕事に夢を賭ける。ドク役のサム・ジャッフェほか皆、好演。

 展開は・・・もう“古典”なので、ベタもベタなド定番!計画通り、首尾よく建物内に侵入して警報装置に注意しながら金庫破りを行っていくんだけど・・・想定外の事態が発生して状況が一変!観客の予想通り、悪い方向で話が進んでいく(笑)。でもね、襲撃ものはこれが大事なの!何も起こらず無事に盗めちゃったら、面白くないし。事のなりゆきを固唾を飲んで見守るのが観客の正しい鑑賞スタイル^^。

 ヒューストンの演出は無駄のない端正な語り口。話が余計な方向にいかず、ストレートに進んでいくのがグー。映像的には、この構図だったら、ここでわざわざカット割って、人物の切り返しとかいれなくてもいいのに・・・とか思う場面も時々あったけど、いまの映画は細かくカット割ってて、編集も早いからね~。そういった意味では21世紀の映像の作り方を今作で先取りしていたのかもしれない(無理矢理なフォロー)。

 

 最後はね・・・勿論、ネタバレするから書きません。作品自体が古典だし、ヒューストンの作品傾向を考えれば想像つくとは思うけど、映画自体はとても面白いのでサスペンス映画ファンやギャング映画ファン以外の方にも観て欲しい。そして、また新たなケイパー映画誕生の時を待とうではありませんか^^。