其の525:勝手に五輪シリーズ第2弾「炎のランナー」

 前回の「クール・ランニング」に引き続き、勝手に五輪シリーズ第2弾(笑)!当然、作品は「炎のランナー」(’81・英)^^。第54回アカデミー賞作品賞ほか受賞作・・・ホントにホントにメジャーすぎて申し訳ない!おまけに冬季オリンピックじゃないし(苦笑)。筆者が今作の音楽担当、ヴァンゲリスのファンだということもあり平にご容赦の程を(「ブレードランナー」も彼の作曲❤)。1924年のパリオリンピックにイギリス代表として出場した2人のランナーを実話に基づいて描いている。
 

 1919年、ユダヤ系のハロルド・エイブラハムズ(=ベン・クロス)が名門ケンブリッジ大学に入学した。彼はユダヤの血を引いていたことで、長年差別と偏見を受けていた。ひょんなことで学内で俊足であることを認められた彼は、走ることで差別と偏見に勝つことを考える。一方、スコットランドで宣教師の家に生まれたエリック・リデル(=イアン・チャールソン)。足が速いことで有名な彼は神のため、信仰のため陸上競技を行っていた。だが、妹のジェニーは陸上を辞め布教に専念することを望んでいた。1923年、陸上競技会でハロルドはエリックに敗北、激しく落ち込んでしまう。そんな彼の前に現れたのがサム・ムサビーニ(=イアン・ホルム)。ハロルドは彼をコーチとして迎え入れる。エリックはジェニーに中国へ布教に赴くこと、だがその前にオリンピックに出場することを宣言する。そんな中、ハロルドとエリックはそれぞれパリ五輪代表に選出されたのだが・・・!?


 ・・・今回のソチ五輪もそうですが、大抵、オリンピックに出る選手って、それぞれが抱える<背景=ドラマ>があるもんだけど・・・今作も対照的な境遇の2人の若者が苦悩しながらも五輪に参加する過程がイギリス映画らしい格調高さで描かれる。

 監督は、これが商業映画初演出のヒュー・ハドソン。以前はCMやドキュメンタリーの仕事をしていた彼だが“映画初演出”でここまでの予算規模の映画を仕切れたのは大したもの!それぞれキャラの立った多数の登場人物たちを手際よく且つ丁寧に演出(いま現在の視点で観ると、さほどメジャーな人は出ていない。それが下手に緊張せずに良かったのかも!?)。20世紀初頭の「パリ五輪」の様子も巧く再現しているし(→“パリ”といいつつ、実は本国・イギリスでエキストラ7000人を動員して撮影)。あの有名な曲が流れるタイトルバックのスローモーションは・・・美しくて、感動的でさえある。ここだけでも何度も観たい(笑)。今作以降、ハドソンの作品は「グレイストーク ー類人猿の王者ー ターザンの伝説」(’83)や「レボリューション・めぐり逢い」(’85)辺りまでは少々話題になったんだけど・・・2000年の「永遠のアフリカ」からは名前を聞かなくなったのが残念無念。

 それぞれ背負うものがあるハロルドとエリックがどんな結末を迎えたのかは・・・本編を観てのお楽しみということで^^。ちなみに今作は「クール・ランニング」同様、実話ベースながら、ハロルドと恋人の出会いやリデルと妹の関係等、ちょいちょい“脚色”されているのでご注意!映画の歴史ものは丸ごと信じたらあかんで(笑)。

 当時のイギリスを再現した美術や衣装もいい、音楽も演出もいい。役者陣もハマってる。・・・ホント、いい映画ですよ、これは。オリンピック後の2人の<その後>も・・・感慨深いものがある(これも映画の最後に字幕で出るからネタバレ防止のために伏せますけどネ)。映画を観た後は各自で調べてみよー^^


 それにしても「五輪シリーズ」と称して真面目な映画を2本も続けてしまった。次は・・・大バカ映画でも書こうかしら?「地球防衛未亡人」とか(笑:嘘です、嘘)