其の426:異色の青春初恋ホラー「ぼくのエリ」

 構想中の某シリーズ作紹介は今秋か今冬にするとして(→そればっか観てたら、あまりの本数の多さに段々記憶が混乱してきた:苦笑)今回は昨年忙しすぎて見逃した内の1本、「ぼくのエリ 200歳の少女」(’08)を紹介。ここでスウェーデン映画を紹介するのは・・・もしかしたら初かも!?邦題からして、もうほとんど“ネタばれ”だが(タイトル考えた奴でてこい!)・・・極力、伏せて書きますわ(・・・できるのか?)。異色ホラーにして、青春映画としても好編の本作。フリーセックスだけが、スウェーデンじゃない(いつの話やねん)!!


 1982年の冬、スウェーデンストックホルムー。離婚した母と二人暮らしの少年オスカー(=カーレ・ヘーデブラント)は、友人も相談相手もいない孤独ないじめられっ子(12歳)。そんなある夜、マンションの隣の部屋に初老の男と黒髪の少女が引っ越してくる。マンション前でオスカーは引っ越してきた女の子・エリ(=リーナ・レアンデション)と出会い、それをきっかけに夜な夜な会うようになる。丁度その頃、町では猟奇的な殺人事件が発生、大騒ぎになっていた。謎めいた同い年ぐらいのエリに、オスカーは次第に恋心が芽生えていくが・・・。

 
 ヨン・アイヴィデ・リンドクヴィスト(名前、長っ)の小説「モールス」(←何故、このタイトルかは本編を見れば分かります^^)を原作者自身が脚色。地元スウェーデン出身のトーマス・アルフレッドソンが監督を務めた。異色の●●●映画とも言えるし、●●●版「小さな恋のメロディ」・・・ともいえようか。・・・あ〜、伏字ばっかで書きずら〜(苦笑)

 典型的な<ボーイ・ミーツ・ガール>テイストながら、変わったキャラを設定して<2人の成長や初恋>を描くのは今作も、宮崎駿の「崖の上のポニョ」も構造は全く同じなんだけど(誰も言わんけど)、完成した作品は「ポニョ」とは全く正反対のベクトルで仕上がった(これぞ作家の個性といふもの)。
 音の使い方(オープニングからして全くの無音!全編盛り上げようとするようなベタな劇伴ではなく、全曲静かな印象)、構図の取り方(ロングショットを多用し、光と影の使い方が上手い。なんでもラファエロの絵をモチーフにしたそうな)、省略できるところは極力切った説明しすぎない編集・・・全ての要素がまぜあわさった結果、静謐でリリカルなムードを醸し出すことに成功している。こういう味の作品は・・・近年なかったと思うし、ヨーロッパ人はこういうの巧いね^^!

 オスカー役のパツキン少年も「エリ」役の女の子も今作が映画初出演にして、撮影当時はほとんど役と同い年だったそうだが・・・中でも「エリ」のリーナ・レアンデションは●●●ものだけに<お約束>やゴア描写(人体バラバラ含む)もある中、相当頑張ったと思う。この役、日本人の少女で上手く出来る子は・・・そうそういないんじゃない?「ロッタちゃん」もスウェーデン映画だけど、北欧の芸能界は・・・相当、奥が深いかも(推測です:笑)。

 ちなみに「エリ」の名前は超日本っぽい名前だけど、ヘブライ語では神を表す名前だそうなので勘違いなきよう^^。筆者的には、エリと途中で大変なことになるじいさんの“関係”を考えるとーラストの意味合いが違って見えると思うので、そこに注目してほしいと思いマス。

 
 ちなみついでに書くと、今月から日本でも公開された「モールス」(’10)は今作のハリウッド・リメイク作!エリ(→米版の名前は“アビー”)役には見逃し厳禁の大傑作「キック・アス!」のクロエ・グレース・モレッツ。台詞や構図等オリジナルを踏襲しつつも猟奇殺人解決に当たる刑事役を新たに配し、謎解きにも力を入れているそうだ。残虐シーンも迫力増とのことで・・・今作でやらなかった「ワッ!!」と驚かせる演出をきっと入れてるんだろうな〜(ハリウッドだし:苦笑)。筆者は基本<オリジナル尊重派>だが・・・クロエが出てるから、いつかDVDで観ようかな。勿論、レンタルの旧作扱いで(笑)!


 <蛇足>立ち消えと噂された「ランボー5」の企画が再浮上だそうで・・・筆者はスタローンのファンだし、ランボーのファンでもあるが・・・「4」を観た限りでは、もうやらんでもいいよ。「エクスペンダブルズ2」を待つ(また来日してね♪)!!!