其の318:緊急番外編「おくりびと」がオスカー獲得!!

 本日、行われた米・アカデミー賞授賞式ですが・・・まさか日本映画が「外国語映画賞」に輝く日が来るとは想像もしていなかった!おかげでTV局はもう大騒ぎさ!夕方なんて全ての民放が同じ時間帯でこのニュースを放送してた(苦笑)。筆者が生きている間には、もうないことかもしれないので書かせて頂きます(笑)!!

 タイトルは言わずもがなの「おくりびと」(’08)。モッくんこと本木雅弘広末涼子の主演作です。監督は滝田洋二郎。この人、元々はポルノ撮ってて(「痴漢電車」系ほか)「コミック雑誌なんかいらない!」(’86:主演はモッくんの義父・内田裕也)で一般映画に進出後は「僕らはみんな生きている」(’93)、「病院へ行こう」(’90)シリーズのようなコメディーから浅田次郎原作の時代劇「壬生義士伝」(’03)に出来はイマイチだった「陰陽師」シリーズ、広末主演の「秘密」(’99)、秀作「眠らない街 新宿鮫」(’93)などのミステリー、サスペンスまで幅広く演出されてきた方。筆者もその昔、取材でちらりとお会いしたことがありますが・・・確か山本晋也監督の助監督もされていたはず^^。ちなみに最新作が「釣りキチ三平」というのは、如何なものかと思うけど(苦笑)。

 いろんな観点から「受賞はない」と思っていたので本当に驚いた。先日の日本アカデミー賞ならいざしらず、アメリカではないと思ってた。これぞ正真正銘の「ミラクル」!!勿論、筆者は未だ観ておりません(めんご)。だって主人公が納棺師なんて・・・地味だと思ったんだも〜ん(苦笑)。物語の後半、遺体が甦って人々を襲うなら面白いとは思うが、そうなると「フロム・ダスク・ティル・ドーン」みたいになって観客はビビると思うんだけど(笑)。短編アニメ部門でこれも邦画の「つみきのいえ」も受賞しましたが、日本製アニメは世界最高水準だから(すでに「千と千尋の神隠し」もオスカー獲ってるし)別に驚きません。当然でしょ^^

 邦画は昨年、史上最高の興行成績をおさめたそうだが・・・一部では「邦画バブル」と言われ、懇意にさせて頂いている某著名映画評論家先生によれば「字幕を読むのが面倒なので邦画を観に行く若い人が多い」とのこと。筆者は俳優が話す「生声」を聞きたいけどね!それに子供の時から、あの妙な書体の字幕(=コストが安かったそうな)を観ていたから、いまの字幕は遥かに読みやすいんで全然苦じゃないし。

 あと近年、とても多くなった「●●製作委員会」方式もメリット、デメリットがあり(=その点については滝田監督も「日刊スポーツ」の取材であれこれ語っている)ある種の弊害にも。邦画全体の質が向上したわけでは決してないのだ。また、すごく冷静に見れば米・アカデミー賞はカンヌやベネチアと異なり「国際映画祭」ではなく、あくまで「アメリカの映画業界人による内輪の投票」。以前、香港映画「インファナル・アフェア」をリメイクした「ディパーテッド」が作品賞獲ったぐらいだから、ハッキリ言ってアジア映画に明るいわけではないようだし。

 でもね・・・暗いニュースが蔓延する現在の日本では昨年の「ノーベル賞受賞」以来の明るい話題!今後考えるべきいろんな問題はあるけど、今日ぐらいは素直に受賞を喜びたいと思います^^スタッフ、キャストほか「おくりびと」関係者の皆さん、本当におめでとう御座います!!


 ちなみに「作品賞」は英国人監督ダニー・ボイル(=彼も「監督賞」に輝いた)の「スラムドッグ$ミリオネア」が獲得。海外資本の作品が作品賞に輝いたのはベルトルッチの「ラストエンペラー」以来だそうで(ジョン・ローンは何処に消えた?)。この映画も設定だけ聞くと「おくりびと」並に地味だけど・・・めっちゃ「いい映画」らしい(=観た人からの伝聞です)。日本では4月公開なので・・・その時まで書かずに取って置きますわ^^