其の281:爆笑ユーモア・ミステリー「キサラギ」

 去年、さんざん友人・知人たちから薦められたものの見逃してしまった「キサラギ」をようやく観る。ジャンル的には赤川次郎の著作と同じくユーモア・ミステリーの範疇に入るのだろうが・・・先日観た「アフタースクール」同様、非常に面白い&爆笑した!!日本映画界は、大作や難病ものとか無理して作らないでいいから、こういう小粋な作品を作る事を考えて欲しいね。尺も108分とコンパクトで良いよ^^


 自宅に放火して自殺した新進アイドル・如月ミキ。その彼女の一周忌に、ファンサイトを通じて知り合ったファン達がオフ会を行う。メンバーはハンドルネーム「家元(=小栗旬。名前の通り、いまがまさに旬!)」、「スネーク(=小出恵介)」、「安男(=「ドランクドラゴン」の塚地武雅)」、「オダ・ユージ(爆笑:演じるのはユースケ・サンタマリア)」に「イチゴ娘(=香川照之)」の5人。当初は如月ミキの話題で盛り上がるつもりだったものの、「本当に如月ミキは自殺したと思うか?」との「オダ・ユージ」の呼びかけによって状況は一変していくー。


 「アフタースクール」同様、ネタバレしないように書くのが非常に難しい話なのだが・・・やっぱり「脚本」が素晴らしい^^何気ない台詞のひとつひとつに伏線が張ってあるし、実は皆がそれぞれ意外な正体があったりして、話はギャグを交えつつ二転三転、四転ぐらいする(笑)。原作・脚本は「ALWAYS 三丁目の夕日」の古沢良太。元々は「ALWAYS〜」以前に執筆した<舞台用>の台本だったそうな(=「十二人の怒れる男」同様、話は一部屋限定で展開)。タイトルの「キサラギ」って・・・もしかして永井豪の「キューティーハニー」からとったのでは(=ハニーの名字は「如月」)??


 役者陣も素晴らしい。メインキャストが5人しかいないから、キャスティングが作品の出来を左右する(=市川崑御大は生前、キャストが決まれば作品の80%出来たも同然と語っておられる)。映画化決定の際、最初に声がかかったのは「オダ・ユージ」役のユースケ・サンタマリアだそうで、本人は仕事受けたあと、即織田サイドに連絡して使用許可をとりつけたそうな(笑:「踊る大捜査線」つながりで良かった^^)。
 あと「イチゴ娘(爆笑)」役に香川照之が決まった時点で彼の台詞を増やすなど、脚本はかなり改訂されたとのこと。ちなみに如月ミキの顔は最後の最後ではっきり分かります。


 監督はTVドラマ畑の佐藤祐市。舞台が一部屋に限定されている為、観客をあきさせない画作りが求められるが・・・そこはやっぱりTVマン!ポンポン、アングルを変えてます^^。これもほぼ順撮りしたからこそ出来る技(でも相米慎二だったら、延々長回しになるんだろうな:苦笑)。合間に入る<回想シーン>はメリハリをつけるため人物をコマ撮りアニメ風に処理したのも分かりやすくていい^^。


 ラストのスタッフロールもお洒落でいいのだが・・・途中に入る<もうひとつのオチ>はハッキリ言って蛇足!あれは・・・いらんよ(残念)。筆者は<礼儀>としてエンドロールは最後まで観る人なのだけど、途中で席立つ人って正直多いじゃない?でも「リーサル・ウェポン3」や「ヤング・シャーロック ピラミッドの謎」みたいにエンドロールの後に別のシーンや本当のオチが来る作品もあるので、映画館では幕が閉じるまで居た方がいいっすよ^^