其の252:祈!シリーズ化「ザ・シューター 極大射程」

 たまには真面目な「社会派作品」でも更新しようと思いましたが、いつものように気が変わりまして(笑:B型なんで)アクション映画「ザ・シューター 極大射程」を。2000年度の「このミステリーがすごい!」(宝島社刊)海外編で第1位に輝いたスティーヴン・ハンターの小説の映画化(邦訳題「極大射程」)。実はこれ、シリーズものの第1作目で、かなり原作とは異なるためファンには嫌われているようだが映画としては面白いざんすよ^^


 かつて海兵隊で凄腕のスナイパー(狙撃手)として働いていたボブ・リー・スワガー(マーク・ウォールバーグ)は山奥で隠遁生活を送っていた。そんなある日、退役軍人のジョンソン大佐(「リーサル・ウェポン」シリーズのダニー・グローヴァー)らが現れ、何者かによって大統領暗殺計画が進行している旨を彼に伝える。その上でスワガーに暗殺阻止の為のオブザーバーを要請、渋々スワガーはOKする。だが、大統領の演説が始まったその時、想定外の場所から銃弾が発射され、同時にスワガーも背後から撃たれて重傷を負う!そう・・・彼に大統領暗殺の嫌疑がかかるよう仕組まれていた<罠>だったのだ!必死に逃げるスワガーの運命や如何に!?


 ・・・ね、面白そうでしょ?この後は皆さんの予想通り<協力者>を見つけて傷を治し、陰謀の謎をときつつ逆襲に転じる。要はマット・デイモンのボーンがスナイパーになったようなもの(笑)。ただ、スワガーは中盤からFBIのエージェントと共に行動するからボーンのように孤軍奮闘ではないけど。
 「このミス」に輝いたのは2000年ながら、原作が書かれたのは90年代初頭。2作目が「ブラックライト」、3作目が「狩りのとき」で、これを「スワガー・シリーズ」という。小説での彼は「ランボー」同様、ベトナム帰還兵だが、映画ではそんな設定まるでなし(苦笑:但しFBIと共闘するのは原作通り)。ちなみにハンターは彼の父親を主人公にした「アール・スワガー シリーズ」と呼ばれる小説も書いていて、「スター・ウォーズ」同様<父と子>のサーガとなっている。


 主演のマーク・ウォールバーグは「ブギーナイツ」のデカチン男役で有名だが(「ディパーテッド」でラストを締めたのも彼)、これまでにも数々のアクション映画に出演。それでも今作にあたっては本人曰く「スワガーをリアルなものにするため、撮影前に厳しい訓練を行った」そうだ。
そもそもスナイパーは映画の「スターリングラード」にも描かれたように標的が現れるまで何時間も身動きひとつせず待ち続ける非常に忍耐と体力のいる役目。そんなキャラクターに見えるように役作りしたという。個人的には「ゴルゴ13」と是非戦ってもらいたい(笑)!


 監督のアントワン・フークアはチョウ・ユンファのハリウッド進出作「リプレイスメント・キラー」(’98)で監督デビュー(但し、これはユンファのプロモーション・ビデオ状態でおもろない)。
その後もデンゼル・ワシントンがオスカーに輝いた「トレーニングデイ」(’01)や「ティアーズ・オブ・ザ・サン」(’03←「ダイ・ハード」の為に書かれた脚本の流用)などアクション映画一筋早10年(笑)。よってアクションの見せ方も手馴れたもので、今作でもスナイパー同士の息詰まる「狙撃合戦」のほか「ナパームの連続大爆発」、「家屋大爆破」などハリウッド式派手な見せ場も沢山ありで退屈しません^^で勿論、悪い連中は観客の希望通りバカバカ殺してくれる(笑)。途中でおねーちゃんが出てくるけど、安易なラブシーンとかないのも清々しくてよし。


 アメリカでも日本でもそれほどヒットしなかったのが残念ですが、「狙撃アクション映画」として上出来!是非、小説同様シリーズ化を望む!!


 <追記>「日本アカデミー賞」、「ベルリン映画祭」ときて、まもなく本家アカデミー賞授賞式が開催されます。脚本家のストライキも終わったし、なにが作品賞を獲るのか今から楽しみ^^