其の171:笑撃のパペット映画「チーム★アメリカ」

 先日、大友克洋監督作「蟲師」を観たのですが・・・つまらなかったなぁ。個人的にはソフィア・コッポラの「マリー・アントワネット」に続いてハズしました。そこで、口直しに「チーム★アメリカ/ワールドポリス」を観たのですが、これは大いに笑った!!人形を使用しているのに過激な設定&表現で日本では成人指定。間違って親が子供に見せたら、とんでもないことになります(笑)。


 「チーム★アメリカ」はテロリストを倒す為なら、いつでもどこでも現れるお節介な国際警察。今回もパリでさんざん都市を破壊した挙句にアラブ人テロリストを退治するが、メンバーのひとりが銃弾に倒れる。そこで新たに抜擢されたのが、ある男性俳優。その卓越した演技力でアラブ人に化けてカイロに潜入、テロリストが隠しもつ「大量破壊兵器」の存在を調べるというものだった。結果、ピラミッドやスフィンクスを破壊した後、テロ集団を皆殺しにしたチームだったが・・・その情報は間違いで(おいおい)さらなる報復に見舞われる(笑)。実は「大量破壊兵器」を持ち、アラブ人テロリストを支援しているのは北朝鮮金正日だった!全世界を破壊すべくジョンイルが動き出す・・・(笑)。


 ・・・という全くシャレにならない設定(苦笑)。こんな映画を作ったのはブラック・ユーモアで知られるアニメ「サウスパーク」のトレイ・パーカーたち。アニメでやってる事(セレブをおちょくる)を人形に替え、更にはブッシュ批判、アンチ・ハリウッドを展開する。もうお分かりのように「チーム★アメリカ」は勝手に世界の保安官(シェリフ)を名乗っている<アメリカという国(で、皆に愛されていると勘違いしている)>自体をコケにする作品なのだ。


 主人公の人形たちはベタベタなヤンキー気質のアメリカ人ばかり。戦っている最中でも同僚に愛を告白するノー天気さ(笑)。で、ハリウッド映画でよくみられるお下劣なジョークを口にし、セックスもする(それが人形だから、カクカクと動いて爆笑)。撃たれれば大量の血を流すし、酒を飲めば酔いつぶれ大量のゲロまで吐く始末!ここまで人形にやらせたのは、おそらく史上初だろう(笑)。


 また作品は全編パロディーに彩られている。チームの基地は「ラシュモア山」にあり、戦闘機やヘリコプターが大統領の彫像の頭部や口から発進(どうみても「サンダーバード」の真似)。パリの炎上(ルーブル美術館大爆破)やカイロの破壊シーン、さらには大爆発の末、洪水に見舞われる「パナマ運河」のスペクタクル場面などは「アルマゲドン」ほかで知られるマイケル・ベイジェリー・ブラッカイマー作品のパロディーだそうだ(笑)。途中に「♪〜パールハーバーは糞だった」とふたりを揶揄した歌が流れてくる(爆笑)。


 先述の金正日をはじめ、実在の人物が「実名」で登場(もちろん人形)!「平和を愛するカマ野郎」として出てくるのがアレック・ボールドウィンティム・ロビンススーザン・サランドンリブ・タイラージョージ・クルーニーショーン・ペンほか実写だったら、超豪華スターの競演!でも何故かマット・デイモンはおつむの弱い設定になっている(ホントはインテリ)。パーカー曰く「俳優ほど嫌な奴らはいない」そうだ(苦笑)。で、彼ら俳優協会が金正日と結託して、チーム★アメリカとバトル!皆、例外なく残酷な形で殺される(爆笑)。この作品を・・・彼らは観ているのだろうか?
マイケル・ムーアチーム★アメリカに対して「自爆テロ」を敢行するし(こらこら)、おまけにジョンイルなんか最後に<衝撃の正体>が明かされるのだから最後まで目が離せない(本当)。


 「9・11」以降、あれこれ言われるアメリカですがー国内でここまで徹底的に批判できる人間がいるのは素晴らしい!懐が深いという事か。それに比べて日本の映画人は・・・ねぇ。