其の162:日米2つの「DOA」!

 現在(2007年2月末時点)公開中の映画「DOA/デッド・オア・アライブ」は人気ゲームソフトの映画化です。それにしても「バイオハザード」シリーズといい、間もなく公開される「龍が如く」といい、そのテの作品が増えたなぁ(苦笑)。でも「DOA」と聞いてコアな映画マニアが思い出すのは三池崇史がその名を轟かせた衝(笑)撃作「DEAD OR ALIVE」3部作のはず(多分)!!今回は偶然同じタイトルとなった日米の作品について比較したいと思います。


 まずはハリウッド版「DOA」の方から。物語は北海道・石狩山脈中にある「忍者王国」のプリンセス(「シン・シティ」のデヴォン青木)が兄を探すため「抜け忍」となる。そんな彼女の元へ届いたのが格闘技最強チャンピオンを決める大会「DOA」の参加状(形状は手裏剣:笑)!実は兄はこの大会に参加後、行方不明となっていたのだ。太平洋上に浮かぶトーナメント島に集められた力自慢の男女による格闘バトルの幕が切って落とされた!!


 とまぁ、さすがゲームの映画化だけあって漫画のようなムチャクチャな設定(笑:例によって日本と中国がごっちゃになってます)。戦う場所はもろ「燃えよドラゴン」だし、登場キャラクター(ゲーム同様、巨乳多し)&アクションはまさに「チャーリーズ・エンジェル」+「マトリックス」!!となると、完全に「王道のバカ映画」のパターンなのだが・・・いかんせん脚本が悪すぎ。人物造形も薄っぺらだし、悪役が超チンケで何が目的かいまいちよく分からない(演じるのはジュリア・ロバーツの実兄エリック・ロバーツ。筆者的にはシルベスター・スタローンシャロン・ストーンが共演した「スペシャリスト」以来顔をみた気がする)。
おまけに、ちょっと物語が進行したかと思うとすぐ(どこかで観たような)バトルが始まる(笑)。観ていて飽きはきませんが・・・これは失敗作でしょうね。男子中学生ぐらいなら水着とアクション(ケイン・コスギも出演)の連続だから喜ぶかもしれんが(苦笑)。私見ですが「大人の男」が観るレベルの作品ではありませんでした(残念)。


 さて、一方日本の方をみてみますと「1年に5本の映画を撮る男」三池崇史(先述の「龍が如く」の監督も彼)の出世作となったのが「DEAD OR ALIVE 犯罪者」で始まる3部作だ(といっても各作品にストーリー上のつながりはない)。主演は3作とも哀川翔竹内力の「Vシネマの帝王」コンビ。中でも最大の傑作はやはり1本目!

 哀川翔演じるのは一匹狼の刑事。その捜査熱心がたたって妻(杉田かおる!)は浮気に走るなど家庭は崩壊の危機に瀕している。そんな彼がやがてチャイニーズ・マフィアのドン(竹内力)と死闘を繰り広げる・・・というベタなお話(笑)。だが、三池は今作にありとあらゆるおかしなアイデアをぶちこんだ!

 まず登場人物は皆キ○○イか変態ばかり!冒頭のコギャルの頭をかち割る警官に始まり、食事中にショットガンで撃たれて死んだ男(腹から出たラーメンが画面に飛んでくる!)を調べるのに哀川は食べていた麺をヒントに捜査を開始(「ツイン・ピークス」のカイル・マクラクランか:笑)。彼の情報屋であるダンカンはアパートで「裏本」を作っている(笑)。石橋蓮司扮するヤクザの親分は自分のチ○コが小さい事を気にしていて、輪姦した女をうんこプールに沈めて殺す(爆笑)!・・・こんな設定は脚本には全くなく、全て三池本人が現場で考えたアイデアだそうだ(笑)。

 そして映画史上に残る<壮絶なラスト>!このオチを予想できる人間は・・・まず地球上にはいない(笑:でもホント)。筆者が10分以上、笑い転げたのはこの映画ぐらいのものだ。

 偶然ながら同じタイトルをつけられた2本の映画。結果は三池崇史に軍配が上がった!彼はいま<和製マカロニ・ウエスタン>を製作中(伊藤英明佐藤浩市桃井かおりがこの作品のオファーを引き受けたのかは謎:笑)!いまから公開が楽しみである。