其の116:痛い青春群像「トレインスポッティング」

 当初は別の映画を考えたのですがー筆者、近日「私的取材旅行」でパリとロンドンに行くものですからイギリス映画「トレインスポッティング」にネタ変え(笑)。いまじゃ「ジェダイ騎士」として御馴染みのユアン・マクレガー出世作でもある「青春映画」です。あるいはー「ジャンキー映画」(苦笑)。
でも、こちらは「レクイエム・フォー・ドリーム」のような<超マジ映画>ではないのでご安心を!!

 
 物語は・・・ヘロイン中毒の主人公(=ユアンが若いっ!)がクスリを止めて、まっとうに生きようと奮闘する姿(でも、そんなにマジではないが)を中心に、その仲間たちとのハチャメチャな青春模様(=「若気の至り」ともいふ)が綴られる(数行で要約するのは難しい!なにせエピソードの数珠つなぎだし)。
 主要な登場人物が「ヤク中」の他、「セックス狂い」に、すぐナイフを手にする「短気男(演じるのはロバート・カーライル)」など誰ひとり正常じゃないのが素晴らしい(笑)。勿論、それが元でえらい目に遭ったりするんだけど(苦笑)。


 まず「映像的」に<ポップ>で<シュール>なところがGOOD!
有名なのが「ユアンが便所に頭突っこむ場面」ーそのあと何故か深い水の中を潜水(笑)。また、ユアンがヘロインを注射すれば快感で「堕ちて行く(=言葉通りの映像化)」。
ヘロイン中毒を克服している途中には「幻覚」に襲われー天井を這う死んだ赤ん坊の首が「エクソシスト」よろしく360度回転する等など<面白い画>がてんこ盛り!それが功を奏して、ともすれば陰鬱な話になるところを救っている。


 また、「音楽」も80年代のヒット曲を中心に使用(=あえて時代設定をボカしているものの、選曲によって80年代後半だと観客に分からせる演出)。その音楽にのって、テンポよく物語が展開していく(なんと「編集」は日本人の手によるもの!)。
監督ダニー・ボイル快心の一作といえよう。近年、監督したゾンビ系映画より、こういう作品の方が彼の資質にあってると思うのだが(余計なお世話か)。
余談だが、この作品のノリで彼が「アメリカン・サイコ」をリメイクしたら大傑作になる・・・気が筆者はしている。


 若い時分にはアレコレろくに考えず無闇に行動するものだが(ケンカっ早かったり、異性とのセックスに夢中になるのはよくあることだ。いい年こいても)ー後にこれが「時間の多大なる損失」で終わってしまう事は少なくない。この映画のユアンのように悲惨な目にあいつつ<学習>すればーまぁ、さほどの無駄にはならないだろう。名目上は「人生勉強」という事で(笑)。
 この国が夢を持ちにくくなったのは確かだが、若人には少しは将来を考えて責任ある行動をとってもらいたいと思イマス!