其の114:禁じられた愛の旋律「暗い日曜日」

 <女性向け第2弾>ということで(笑)、決してメジャー作ではありませんがドイツ・ハンガリー合作の「暗い日曜日」を紹介します。
タイトル・ロールの「暗い日曜日」は<シャンソンの名曲>として知られていますが(淡谷のり子ビョークら大勢の歌手がカバー曲を歌っている)、同時に「この曲を聴くと自殺する」として一時期<発禁処分>を受けたこともあるいわくつき(ある意味、「都市伝説」)。その曲の「誕生秘話」を描いた映画がこれ。決してホラーではなく、切なくも哀しい愛の物語です(ホント)。


 第2次大戦前夜のブダペスト。「レストランの中年オーナー」と「その恋人の女ギャルソン」はふたりで店を切り盛りしながら楽しく生活していた。そこへ雇ってほしいと若い男性が店を訪れる。彼は天才的な腕を持つピアノ弾きだった・・・。
やがて女ギャルソンはピアノ弾きとも交際をはじめ、奇妙な三角関係が出来上がる。ピアノ弾きは彼女の為にある曲を贈る。それが「暗い日曜日」である。
だが、ナチスのヨーロッパ侵攻によって3人の運命は思わぬ展開を迎えてゆく・・・。


 「男2人と女1人」という設定はトリュフォーの「突然、炎のごとく」を連想させますが、この映画の3人はあれほどベタベタしていない。ヒロインが中年と青年を上手に回してます(笑)。まぁ、二股といえば二股なんですけどね・・・。美人だからいいか(笑)。
対するレストランのオーナー、ピアノ弾きもそれぞれ純粋に彼女を想っている好人物!もし「暗い日曜日」が作られなかったら3人の運命は・・・(涙:実話じゃないと思いますが)。


 また「映像」が綺麗なのでヨーロッパ特有の景観やあちらの調度品、文化習慣まで(オーナーとヒロインは風呂に入りながら食事する!)「観光気分」も兼ねて楽しめること請け合い!
勿論、名曲「暗い日曜日」が大きな聴きどころである事は言うまでもありません。
 

 先の「あら筋紹介」では割愛しましたが前半、観光客として店に訪れるドイツの青年が物語のキーパーソンとなる展開も面白い。
正確には<現代のブダペスト>から<過去のお話(あら筋部分)>、そして再び<現代>に戻る構成。ラストのオチのつけ方が秀逸で、初めて観た時には「こう来たか!」と唸ってしまいました。
 監督も俳優陣も日本ではイマイチ知名度がないのが残念ですが(よって、このブログではカット)大変面白い映画です!下手なフランス映画みたいにタルタルしてないし(笑:ファンの方はすみません!悪意はありませんので)。