其の62:御大、大活躍!「ザ・シークレット・サービス」

 クリント・イーストウッドは監督としても、いまやすっかり巨匠の仲間入りを果たしたが少し前までは自作以外にも俳優として、いい味を出してくれていた。「Uボート」で知られるウォルフガング・ペーターゼン監督が演出した「ザ・シークレット・サービス」はクリントファンならずともアクション映画の快作として観るべき一作だろう(ちなみにタイトルは大統領警護を意味する主人公の職業のこと)。

 
 かつて警護していたケネディ大統領を守れずトラウマとなっている引退間際の男(イーストウッド)の前に、大統領の暗殺予告が届く!職務を遂行し、かつての悪夢を振り払うべく男は謎の暗殺者と命を懸けて闘うことを決意する・・・!

 
 今作のイーストウッドは、大ヒット作「ダーティハリー」のような<アウトロー>ではない。老体に鞭打ちながら自分の為、恋人(「リーサル・ウェポン」シリーズのレネ・ルッソ好演)の為にも奮闘する普通の男。その姿がなんとも微笑ましい。
 また、こういう映画に欠かせないのが<悪役>の存在。悪役が強くてずる賢く、憎い奴であればあるほど映画は面白くなる。その点、今回のワルは性格俳優ジョン・マルコヴィッチ!後に「コン・エアー」等でも凶暴な囚人役を演じていたが、今作でもその人相にたがわぬ悪役ぶりを見せてくれる(笑)。
 映画のラスト、イーストウッドと1対1で繰り広げるバトルはまさに<死闘>!ペーターゼン演出が冴えに冴える!所詮は<娯楽作>ではあるのだが、これは本当に面白い!!
 現在、イーストウッドは監督した第2次戦争映画(それも2本)をつい先日、クランクアップ。一方、ドイツからきたペーターゼンは最初は面白い映画を作っていたのだけれど、最近は「トロイ」とか、大味な大作を監督。新作は、かの傑作パニック映画のリメイク「ポセイドン」(泣)!少し、仕事を選んでほしいなぁ・・・。