其の58:金田一耕助は「犬神家の一族」でしょ!

 筆者は「ミステリー・マニア」でもある。特に小学生時代は折りしも<横溝正史ブーム>の真っ只中!金田一ものはテレビでも放送されていたので、毎週欠かさず観ていた。
 中でも監督・市川箟+主演・石坂浩二金田一映画は全て観た。中でも一番面白かったのがシリーズ第1作「犬神家の一族」!三国連太郎高峰三枝子草笛光子ほか豪華俳優陣の競演が見所である。勿論、お馴染みエグい殺人シーンも(笑)。

 信州にある大財閥・犬神家の当主が死去。残された莫大な遺産を巡って猟奇連続殺人事件が発生!名探偵・金田一耕助は複雑な人間関係を紐解いてゆきながら事件の真相に迫るー。あの<白マスク>の助清はこれで登場してます^^。

 この作品以前の金田一耕助は背広を着ていたりしていたが(笑)、今作より現在のスタイルーもじゃもじゃ頭に羽織・袴が基本となった。さらに市川は原作の持ち味を損なうことなく、スタイリッシュ且つおどろおどろしさを加味!有名な湖から足出している死体を筆頭に、人形から生首(若き日のチイチイ!)が落ちる場面は筆者のトラウマとなった(苦笑)。後年、この映画に出演しているあおい輝彦さん(「あしたのジョー」!)にインタビューした際、この話をしたところ「市川監督は恐怖と笑いを絶妙に演出していた」とおっしゃっていた。けだし、名言である。
 今作の大ヒットから同じ監督・主演コンビでたて続けに「悪魔の手毬唄」、「獄門島」、「女王蜂」、「病院坂の首縊りの家」と制作された(「八ツ墓村」や「悪魔が来りて笛を吹く」は別系統)。後年、市川はトヨエツを金田一役にして「八ツ墓村」を監督。薄味で評価はイマイチだった。ところが今年、傑作「犬神家〜」をリメイクするという(金田一に再度、石坂。ヒロインには松嶋菜々子)!!何故、いま、この映画を作るのか?!筆者の期待と不安は募る(どうせ観るんだけどさ)。