其の29:ガンダムより凄い!「伝説巨神イデオン 発動篇」

 筆者の少年時代は<ロボットアニメ>全盛期であった。無論、「機動戦士ガンダム」(いまだにシリーズが続いている!)もリアルタイムで観ている口だ。
そのガンダム富野由悠季(旧・喜幸)監督が放った一大ロボットアニメ巨編が「伝説巨神イデオン」!TVシリーズ(全39話)終了後、映画化された(「接触篇」「発動篇」の2作を同時公開)。この映画版がなによりもの凄い!!

 「接触篇」はいわばTVのダイジェスト。銀河系のある惑星で移民していた地球人と、文化を異にするバッフ・クラン人が遭遇!伝説のイデを巡って双方は交戦状態に突入、宇宙を舞台に両人類の戦闘の様子が描かれる。
 そして肝心の「発動篇」!神ともいえる存在=イデによって、両軍雌雄を決する最終決戦が行われる。それにはイデのある思惑が絡んでいた・・・。

 「ガンダム」同様、大勢のキャラクターがそれぞれ悩み、苦しみながら不本意な闘いを強いられる過酷な日々。地球及びその周辺空域で行われる地球人同士の内輪揉めを描いたのが「ガンダム」ならば、富野監督はそれを今作で大きくバージョンアップ!遥か広大な銀河系全域に渡って「神(=イデ)」の下で繰り広げられる2つの人類の戦闘と設定した。富野版「2001年宇宙の旅」といえよう(影響を受けているのは本編を観ると明白)。

 富野作品は「ガンダム」の他「無敵超人ザンボット3」、「聖戦士ダンバイン」でもその登場人物への<殺しっぷり>が凄まじい事で知られているが(本人はその懺悔のため改名したと語っている)、中でも「イデオン」は究極!惑星は割れ、大量のミサイルやビームで次々とメカや人が吹っ飛び、子供さえ容赦なく殺してしまう・・・!
 
 筆者はフランシス・フォード・コッポラは「地獄の黙示録」を頂点に、以後下り坂であると思うが、「イデオン」は富野監督にとっての「地獄〜」に相当する作品だと思う。この作品にあった<憑きもの>が以降、感じられない。人気では「ガンダム」に負けたが、「イデオン」は富野監督の最高傑作だと宣言しよう(あくまでも個人的意見です。あしからず)!