其の28:社会派超大作!「JFK」

 監督のオリバー・ストーンはその態度や物言いから評判が悪い事は筆者も知っている。正直、アカデミーに輝いた「プラトーン」は観賞前のこちらのイメージが強すぎた為か物足りなさを感じたし、最新作の「アレキサンダー」は映像に反して内容が薄いと思った。だが社会派映画「JFK」だけは唯一圧倒された!彼の最高作といって良いのではないか。

 誰もが知る「ケネディ暗殺事件」の全容解明に挑む地方検事ジム・ギャリソンの姿を描く実話の映画化である。ストーンはギャリソンの調査結果に加え多数の文献・自ら行った調査内容を駆使して<独自の推理>を披露する(真相は勿論、未だもって不明)。その昔、UFO研究家・矢追純一ケネディが<宇宙人と交わした密約>を破ろうとした為に殺されたという説を発表したが、それよりはマシ(笑)。テレビでは時々、色んな新説を扱っているがどれが正しいんだか。

 ジム・ギャリソンを演じるのは全盛期のケビン・コスナー(本人とは似ていない・笑)。オズワルドにはゲイリー・オールドマン(ブレイク前)、事件の鍵を握るクレー・ショーにはトミー・リー・ジョーンズと豪華俳優が大挙出演!ドラマに厚みを加えている。

 筆者が仰天したのはその<編集>!ジョン・ウィリアムズの「JFKのテーマ」にのって展開されるオープニングは業界人的に観ても完璧!!上映時間3時間の長尺でありながら一瞬もダレない(脚本もストーン)。まぁ、これはある意味「観客に考える暇を与えない」という批判にもつながるわけだが・・・(苦笑)。

 筆者はオープニングの完璧な編集を再見したくて「ディレクターズ版」を購入した。そうしたら肝心のオープニングが・・・変更されていた(涙)。劇場公開されたノーマル版と併せてこの20世紀最大のミステリーを考えてみるのも一興。