其の660:和製サド映画「女地獄 森は濡れた」

 ・・・ゴールデンウィーク(映画業界用語にして和製英語)も終わりましたが、それと同時に極めて個人的な事ですが・・・実父が亡くなり、先日葬式を終えました。そこで伊丹十三の「お葬式」とか(ベタベタ)、父と息子を描いた映画も考えたのですが・・・全てやめて(笑)、神代辰巳監督・脚本作「女地獄 森は濡れた」(’73)に変更(なんでやねん)!!「にっかつロマンポルノ」にして一週間で上映禁止になった問題のカルト作!!・・・この間書いたスピルバーグからの今作!全然、親父ともスピちゃんともまるで関係あらへん!このブログは・・・振れ幅が広いな〜(我ながら笑うしかない)^^

 
 大正時代ー。幸子(=伊佐山ひろ子)は無実ながら女主人殺しの罪で追われ、3日間歩き続けていた。そんな時、洋装の貴婦人・洋子(=中川梨絵)に声をかけられ、自動車に同乗させてもらう事に。洋子は夫と山中にあるホテルを経営しており、幸子は誘われるまま洋館のホテルを訪れる。幸子と洋子が話をしていると、洋子の夫・竜之介(=山谷初男)が現れ、幸子が指名手配されている事を告げる。動揺する幸子に彼は“ある提案”をしてきて・・・!?

 
 原作はかのマルキ・ド・サドの「新ジュスティーヌ」(翻訳された文庫本あり)!舞台をフランスから大正期の日本へ移しての翻案。確かに原作のアウトラインは・・・こんなお話ですな。タイトルだけだと、大勢の女と少数の男が森の中でヤリまくるのかと想像しがちですが、そうではありません(笑)。

 筆者はサド大先生のファンではありませんが、映画化作品はたまたま、ちょいちょい観ていて(本国フランスではロジェ・バディム、イタリアではパゾリーニ、日本でも実相寺昭雄とか撮ってるんで)上映時間65分(尺的には中編)というのは・・・筆者が観たサド作品では一番短いかも!?

 “ロマンポルノ”で撮る“時代物”なので、予算的な問題も多々あっただろうけど(舞台となるホテルの全景ショットとかないし、出演者もごくわずか)怪しさ満点の室内セットは雰囲気出てた^^。先述の粗筋は丁度よい辺りでやめましたが・・・あれ以降は危なくて書けへん(笑)。でも、原作読んでたり、サド作品のパターンわかってれば・・・大体<想定内>の展開になります^^。

 筆者はアラフィフだし、サディズムに興味もないので、鞭バシバシシーンとか観ても笑えたけど・・・若い人(言うまでもなく「18禁」の「成人映画」)が観たらトラウマになるかもしれないね。若き日の山谷初男の“怪演”にも要注目という事で^^。音楽の使い方も印象的でいいんだけど・・・時々、手持ちで撮ってるドリーショットが悪い意味で気になって・・・クレーンなり使えばいいのに、とか思ったけど(まだこの当時は、ステディカムとかないんで)それも予算の問題だな^^!

 以前にも書いた事だけど、筆者はロマンポルノ世代じゃないから、リアルタイムでは観てなくて・・・これからは<勉強>として、ロマンポルノも観ないといけないね。けれど生きてる間、残りどれだけの数の映画を観る事ができるのか?愉しみでもあり、怖くもあり・・・!


 <どうでもいい追記>なんとスタローンが「ランボー5」作るとの情報!マジ卍!?・・・書いてみたかっただけ(笑)。