其の157:超ドロドロ復讐劇!「修羅雪姫」

 「巨人の星」、「あしたのジョー」の梶原一騎が<少年誌>における劇画原作の巨匠ならば、「子連れ狼」の小池一夫(当時は「一雄」)は<青年誌>における劇画原作の巨匠である。その小池大先生の代表作のひとつが「修羅雪姫」(作画は「同棲時代」で知られる上村一夫)!梶芽衣子主演で映画化されました(釈ちゃんのはそのリメイク)。クエンティン・タランティーノによる「キル・ビル Vol.1」でルーシー・リューが演じた「オーレン・イシイ」の元ネタでもあります。


 時は明治。亭主と息子を殺されたうえ投獄された女(赤座美代子!)が、その怨みを晴らすため子供を産む。それが修羅雪(梶芽衣子)!幼少時より母から繰り返し聞かされた<4人の仇>を求めて成長した彼女(=お約束の「特訓」あり)は旅に出る・・・!


 女が自分の代わりに、我が子に<復讐>させるため適当に男を調達して身籠る・・・。こんなもの凄い設定を考えられるのは世界広しといえども小池先生ぐらいだろう(笑)。「女性」を描かせたら天下一品、「昭和の絵師」と謳われた上村一夫ありきで、設定を考えたと先生はコメントしておられます。決して「白雪姫」のもじりではないそうだ(笑)。


 で、映画化(話は東映っぽいけど、東宝作品!ホントに70年代は凄い時代だ)された時に監督を務めたのは藤田敏八!!「八月の濡れた砂」他で知られる青春映画の巨匠である。小池漫画の映画化とあって、すでにその凄まじい殺陣で人気を博していた「子連れ狼」シリーズの三隅研次大先生式の演出も取り入れ、豪快な「復讐アクション時代劇」となった。
ちなみに「三隅式」とは首や手足、胴体がスパスパ切られて血が噴水のようにドピューと出るパターン(笑)。タランティーノが「キル・ビル(これも女の復讐劇)」でまんま取り入れてます(「修羅雪姫」の主題歌までエンディングに流した)。


 主演の梶芽衣子柴崎コウ似)は蛇の目傘に刀を仕込んで、血まみれになりながら母の代わりに仇を討ってゆく怨念の子を熱演!華麗なソード・アクションを披露しています。「野良猫ロック」シリーズといい「女囚さそり」シリーズといい<女アウトロー>をやらせたら、彼女の右に出る者はいない。映画はヒットし、急遽続編「修羅雪姫 怨み恋歌」も作られたほど。マジで、この時代の梶芽衣子は凄かった!!来日したタランティーノが梶と会ったとき、延々彼女の手を握り如何に自分がファンなのか訴え続けたぐらいだしね(笑)。


 久しく続いた「洋高邦低」が昨年、逆転したそうですが、こういう凄い作品を作らない限り真の復権ではないだろう。本当に昔の日本映画は凄かった(あらゆる意味含む)!!
 で現在、筆者は・・・何故か今「小池萌え」しております。最低あと2回は「小池原作映画作品」を取り上げる予定。ファンの方は、乞うご期待(笑)!!