其の418:<番外編>世間の評価は高いけど・・・

 アイデアは色々あるのですが、それらについてリサーチする時間がないので(毎週毎週欠かさず1本書けるほど筆者は暇ではないのだよ)今回は久しぶりに<番外編>!


 世間には<必要以上に評価の高い作品>が多々あると常々思っている。近年では、所詮あらゆるジャンルのよせ集めの「アバター」をはじめ、全ての描写がいい加減な「アルマゲドン」、船を舞台にしたロミジュリ「タイタニック」とか・・・悪いけど、筆者はあのレベルじゃ騙されません。過剰に持ち上げると、制作側が勘違いするからダメなものにはダメと言わないとね!小林よしのりじゃないけど「ゴーマンかましてよかですか?」


 公開当時は流行っても、後々腐る映画は、それほど山のようにあるわけで・・・例えばクラシック化しているジャン・ギャバンの「望郷」とか観ても、あまりピンとこない。潜伏中の犯罪者にしては、いくらフランス人とはいえ服装がオシャレすぎないか(苦笑)。監督ジュリアン・デュヴィヴィエの名が長い事語られなくなったのも、彼の作品が年月とともに“腐った”からではなかろうか。
 
 もうちょっと年代を後ろに下げると・・・フランソワ・トリュフォーの「突然炎のごとく」も彼の代表作&名作といわれるが・・・どこが?まるで面白くなかったけど。「アデルの恋の物語」もイマイチだったし・・・。よっぽど長編第一作の「大人は判ってくれない」の方が映像のみずみずしさも含めて、遥かに出来がいいぞ!!

 
 また一部に人気のある「愛と哀しみのボレロ」。幾人かの実在の人物たちをモデルにした大河ドラマだが・・・ただ無駄に長いだけで、まとまりが悪い困った映画。ラヴェルボレロに乗せて、ダンサー踊らせてまとめりゃいいってもんじゃないって。試しに1回観れば十分だわ。

 
 フランス映画ばかりを攻撃する気は毛頭ないけど「冒険者たち」も・・・そんなにいいか?いつの間にか<青春映画の傑作>みたいな扱いだけど・・・後半の意外な展開も含めて、筆者はさほど誉める気なし。
 
 
 <泣ける名作>として知られるソフィア・ローレン主演の「ひまわり」(これはイタリア映画)。これ大和和紀先生が漫画「はいからさんが通る」でパクってて(いや「オマージュを捧げた」と書いておこう^^)筆者はそっちを先に読んでしまったから・・・まるで感動しなかった(苦笑)。結構、いい年こいてから見直したけど・・・「泣かせよう」という作劇の計算が読めて、なんとも思わなかったのが正直なところ。筆者は元々小説や漫画読んでもめったに泣いたり、笑ったりしない人なんで、長州力風に言わせてもらえれば「俺、泣かせたら大したもんだよ!」。黒澤明の「用心棒」と、それをヒントにした「荒野の用心棒」・・・どっちを先に観るかで評価は大きく変ると思うが・・・でも、どっちから観ても面白くなきゃいかんでしょう。

 
 黒澤明監督、三船敏郎主演の「用心棒」と「椿三十郎」。主人公は一緒だけど、両者を比較すれば「用心棒」の出来の方が上であることは一目瞭然!「椿〜」は展開がたるいんだよね。「用心棒」にあった緊張感がまるでなし。いいのは有名なラストの決闘だけ(笑)。「用心棒」がマカロニウエスタンの基礎となったことは周知の事実だが、「椿〜」がスプラッター映画のルーツになった・・・という説は多分嘘だろう^^。

 
 「カルト」として人気の高いジョン・カーペンターの「ニューヨーク1997」も、いま観るとまるで大したことない。アイパッチのヒーローのキャラはいいけど、肝心なストーリー&映像がねぇ・・・。同じカーペンターでも「要塞警察(←オリジナルの方よ)」の方が格段に上。


  同様に「まぼろしの市街戦」も評価高過ぎ!言いたいことはよく分かるし、女の子の綱渡りの場面も可愛らしくて嫌いじゃないけど・・・大傑作では決してない。筆者が中学生だったら誉めるかもしれんけど、いい年こいた今は無理(苦笑)。

 
 「アクション映画」や「SF映画」は筆者も大好きなんだけど・・・オリジナル版の「グロリア」も評価高いけど・・・筆者的にはちょっと無理。大してつきあいのない隣人に、あんな鉄火場女が「子供預かって!」といきなり頼まれて、イエスというだけでもうリアリティー0(笑)。映画の基本設定が良かっただけに、脚本の詰めの甘さには・・・まいったなぁ。「スピード2」とか「フィフス・エレメント」よりは勿論ましだけど(比べる方が悪いネ)。

 
 敬愛するキューブリックも・・・「シャイニング」は完全に外してる。コメディで笑えないのがつらいように、ホラーで怖くないのは同様につらい!筆者は彼の唯一の失敗作だと思うが(技術面の素晴らしさは、また別の話)意外に評価が高いから、ファンとして困ってしまう。

 
 キューブリックと同じく敬愛&筆者世代には外せないのがスピルバーグだが・・・彼も「1941」とか「フック」とか、リメイクの「宇宙戦争」、新しいインディ・ジョーンズと結構スベってる(苦笑)。天才スピちゃんも年食ってヤキが回ったのか?はやいとこ次回作で健在ぶりを示してほしいものだ。


 
 ・・・つらつらと、とりとめもなく諸作をあげつらったので(ここしばらくの“邦画バブルの諸作”はあえて全て外しました。あまりにも酷い作品が多すぎるので)異論・反論あろうかとは思いますが、ある程度映画に目が肥えてる人ならば、ご賛同頂ける部分もあるだろう、と。これも全て筆者による“映画への愛のムチ”だと好意的な解釈をして頂けると助かりま〜す!