<其の788>2023年1発目は「モリコーネ 映画が恋した音楽家」短評

 新年明けましておめでとう御座います!今年も宜しくお願い致します・・・って、大分遅い(苦笑)。今年こそ戦争とコロナが終息しますように!!

 

 2023年、最初に観た映画は「エイリアン2 完全版」でした(マイDVD)。何故か急にエイリアンクイーンとリプリーのバトルが観たくなったから(苦笑)。年末に映画館で観た「アバター」に少なからず影響された・・・のかもしれない(謎)。

 

 そして今年、最初に映画館で観たのは「モリコーネ 映画が恋した音楽家」(’21・伊)となりました。2020年7月、91歳で亡くなった不世出のウルトラ天才音楽家エンニオ・モリコーネのドキュメンタリーです。生涯に渡って、あんなに多彩な音楽を生み続けた人は・・・人類史上いないのではなかろうか!?映画はコロナ渦で延期されて、ようやくの日本公開!!映画にいい音楽がつくと、映画全体の格がグーンと上がるからねぇ。勿論、音楽だけ良くてダメな映画も沢山あるけどさ(苦笑)。セルジオ・レオーネの諸作や一時期のデ・パルマ作品もモリコーネの曲がないなんて・・・もはや考えられない。個人的にも2005年10月に彼の来日コンサートに行ったのは・・・今でもいい思い出だ^^。

 ドキュメンタリー映画を映画館で観たのは・・・旧オウム真理教に密着した「A」以来か!?う~ん、久しぶり過ぎて忘れてしまった(笑)。筆者は余り映画館でドキュメンタリー映画を観ない人なんだよね、別に嫌いではないのだけれど・・・何故なんだろう??我ながら、これも謎!今作はドキュメンタリーでありつつ、ジュゼッペ・トルナトーレ監督“最新作”でもある。

 

 映画はモリコーネのインタビュー(子供の時から近年に至る時系列に沿って)と関係者達のコメントをベースに大量の素材をインサート使用。ナレーションやスーパーでの説明は一切ない。インタビュー受けてる人々はイーストウッドタランティーノ、故ベルトルッチオリバー・ストーンウォン・カーウァイほか映画監督に加え、同業のジョン・ウィリアムズハンス・ジマーらにモリコーネをリスペクトするブルース・スプリングスティーンクインシー・ジョーンズら超豪華メンバー!トルナトーレ自身も出演してコメント。天才音楽家の山あり谷ありの生涯が赤裸々に語られていく構成となっている。

 

 筆者は以前からモリコーネのインタビュー本とか読んでいたので、劇中のコメントで知る新たなエピソードはそんなにはなかったし、あんまり書いちゃうとマズいから、ごく一部だけ紹介すると・・・かのキューブリックが「時計じかけのオレンジ」(’71)の作曲依頼をモリコーネにしたところ、本人はやる気マンマンだったのにレオーネが勝手に断った・・・というエピソードは、そんなに有名な話じゃないので初めて知った人は驚くのではなかろうか。

 数十人のインタビュー撮影に大量の素材収集及び編集・・・製作は大変だったろうなぁ!金も時間もかかるしー想像しただけでも制作スタッフには尊敬しかない(笑)。上映時間157分の長尺ながら、ラス・メイヤーの映画みたいに編集テンポがめっちゃ速いので、飽きることなく一気に観られるのもグー。モリコーネのファンは勿論の事、映画好きは必見の作品(都内の上映館が少なすぎるのは、ただただ残念)。

 

 これからの一番の心配は・・・今作の監督にしてモリコーネ後期の盟友、トルナトーレの作品!その昔、フェリーニの映画はニーノ・ロータ亡き後、音楽が弱くなったと言われたものだが、新作が決まる度にモリコーネと密に相談していたトルナトーレは今後の音楽をどうするのか!?大分、心配だけど、我々トルナトーレのファンは彼の劇映画での新作を・・・じっと・・・待つしかない。