<其の748>21世紀の現代では作れない類の作品「大虐殺」寸評

 6月も下旬となり、先日関東も梅雨入りしました。7月下旬まではこの悪天候ー!コロナ同様、早く終わってほしいなぁ・・・。

 

 先日、ソフトを持っているのに観ていなかった数作品を集中して鑑賞。・・・購入すると安心しちゃって、ついつい先延ばししてしまうのが筆者の悪癖!ディズニーアニメ「アナと雪の女王」もそんな内の1本(苦笑)。かのアンデルセン童話を、よくぞここまでエンタメとして脚色したなぁ~と感心しました。CGもクオリティ高いし、歌唱曲も素晴らしい(思ったよりは曲数少なかった)。ただ、山奥に逃げたエルサが氷の城作って暮らすのはいいんだけど・・・「食事どうするんだよ」って、野暮なツッコミをしてしまったのは筆者だけか!?(ちなみに続編はソフトも持っていないし未見)。

 あとマイケル・ジャクソンのドキュメンタリー「THIS IS IT」!意外に思われるかもしれませんが筆者はマイケルの“リアル世代”だしね・・・。今更書くまでもないけど、こちらは彼が急死する直前までリハしていたコンサートの舞台裏を撮影したもの。マイケルのコンサートに賭ける本気度がビンビンに伝わってきて・・・もし、このコンサートが実現していたら、最高だったのに!!本当に残念無念。本編中にムーンウォークしているカットが入っていれば、映画はもっと最高だった。

 

 ようやく本題(笑)。ラフな時代には作れたものの、あれこれ厳格化した時代には作れない題材の映画もある訳で(これが善いことなのか悪いことなのかは今回はスルーします)当ブログでお馴染、大蔵貢体制下の新東宝で製作された小森白監督作「大虐殺」(’60)も21世紀の今日では製作不可の作品だろう(相も変わらず凄いタイトルつけてお客を呼ぼうという大蔵社長の魂胆はミエミエ)。

 大正12年の「関東大震災」に端を発する朝鮮人虐殺や大杉栄らを殺害した「甘粕事件」他の史実をベースに天知茂(←後年の代表作は「土ワイ」の明智小五郎!)扮する主人公達がテロに走る様子(これはフィクション)を描いた社会派作品。教科書でもサラッと書かれている部分がこってり描かれているので「日本史」の勉強にもなる。

 大蔵社長による徹底した予算削減下にありながら、浅草の「凌雲閣」崩壊シーンはミニチュア作ってるし、火災で人々が逃げ惑うシーンもちゃんとセットを壊したり、燃やしたり、遠景では合成したり・・・と当時の新東宝の状況を知っているとすげー頑張ってると思う。もっとも公開当時は「チャチい」と批判されたようだが・・・(苦笑)。

 脚本は内田弘三。あの石井輝男監督とも仕事している御仁。石井監督に言わせれば「まじめ」な方だったそうなので(笑)、主人公の苦悩や悲恋等も描かれ、緻密に計算した上でストーリーを構築していった事がうかがえる。それを小森監督がシリアスかつ重厚に演出。もっとも当時、タイトルに魅かれたグロ目的のお客が観終わってどんな心境になったのかは・・・よく分からん(笑)。

 「傑作!」とまでは筆者は思わないけど、これは<日本の暗黒史>・・・ですよ。もういまでは、こういった内容は企画自体が通らないだろうから、日本映画史においても貴重な1本だと思うので、今回はこれが言いたくて設けた回。こういった歴史があった事も我々は忘れてはいけないし、過去に書いた事の繰り返しになるけれど、映画をきっかけにあれこれ自分で調べてみる事も大事だと思う。

 

 <どうでもいい追記>買ったまま観ていないソフト、まだまだ沢山あるのに、つい「ジャスティス・リーグザック・スナイダーカット」のブルーレイも購入。バットマンファンの筆者としては観なければならない1本だが、これ242分もある超大作なのよね・・・。果たして、いつ観る時間がとれるのか!?次回、当ブログで今作について書けるかどうか・・・自信がない(苦笑)。