<其の740>タイトル凄すぎ!!!「九十九本目の生娘」

 東京の緊急事態宣言も解除決定だそうですが・・・リバウンドは大丈夫かいな??

 

 このブログに度々する大蔵貢社長時代の「新東宝映画」ですが、今回紹介するのは「九十九本目の生娘」(’59)!!生娘だよ、生娘(死語)!!お客を呼ぶ上でタイトルが大事なのは承知しているけど、この題名はカルト映画とはいえ・・・凄すぎる(爆笑)!!こんなキャッチ―すぎるタイトルを付けるのは大蔵貢東映社長時代の岡田茂しかない(笑)。いかにも怪しい見世物的なタイトルながら、主演はあの菅原文太(ブレイク前)!!文太兄ィは実はこの新東宝出身なんですね~。ホント「人に歴史あり」だ。

 

 岩手県北上川上流にある山々でー。東京から遊びに来ていた2組のカップルの女性達がさらわれた。男達は関与を疑われる老婆を捕まえたものの、逃げられてしまう。地元警察に事件の経緯を伝えたものの相手にされない・・・。その頃、山奥に住む人々の間で10年に一度の「火づくり祭」が行われていた。この祭にはある“儀式”があり、寺に奉納する刀を鍛える為に処女の生き血を必要としていたのだ。拉致された女性2人は99回目となる今回の祭に捧げられたものの、あえなく刀作りは失敗。新たな生贄が必要となる。儀式に絡む殺人が発覚した事で、警察は捜査を開始したが・・・!?

 

 原作は大河内常平の小説「九十九本目の妖刀」。題名にある“妖刀”を“生娘”に変えて作られたのが今作。この説明と上記の粗筋で、なんでこんなタイトルになったのかはお分かり頂けたと思う。「ミッドサマー」と同じく・・・余所者が知らぬ土地に入って、そこの住人に酷い目に遭わされるという“田舎ホラー”というやつですわ。深い森に覆われた山々の映像が随所に入って、いい雰囲気出してるけど・・・予算を削りに削った大蔵社長だから、岩手現地ロケはしていないだろう。おそらく関東近郊(笑)。 

 見所は勿論、主演の文太兄ィ・・・と書きたいのだが、山奥に住む人さらいの老婆とか村の長(この人が刀作る)とかキャラの立った人が多くて、ラストの大活躍以外は印象が薄い(苦笑)。加えて新東宝の“グラマー女優(これも死語だな)”三原葉子ほかが拉致られる女の子役で出演。少しだけ台詞はあるものの、早々に下着姿で吊るされて生贄にされる。ところが処女じゃなくて刀作り失敗・・・ってギャグか(笑)と思ったけど、映画のトーンは大マジ!ちょっと集落に住む人々の描写が江戸時代入ってたり、かなり前時代的ながら、お話は割とイケる。

 古来からの儀式をストーリーの軸にして(ネタバレするから具体的には書けないけど)、田舎ホラーにしては様々な人間模様も描かれる多面的な内容。なんと今作には後に「マジンガーZ」ほか多数の名作を執筆した高久進が共同脚本で参加してる(これがデビュー作)。まさに「人に歴史あり」!

 

 傑作ではないけれど、現代のニッポンでは二度と作れない類の妖しい作品。興味のある方は是非。