<其の732>ザ・任侠映画「昭和残侠伝 死んで貰います」

 明けましておめでとう御座います。本年も宜しくお願い致します^^!

 ・・・新年早々、東京は2回目の「緊急事態宣言」・・・。

  

 前にも書きましたが筆者の“世代的”に無縁だったのは「ポルノ映画」と「任侠映画」でした。「任侠映画」と「やくざ映画」は、同義語なのでしょうけど<スーツ着て拳銃でドンパチする>のが「やくざ映画」、<義理人情&男の心意気で着流しきてチャンチャンバラバラする>のが「任侠映画」だと個人的には思っています。昔の「清水次郎長」や「国定忠治」の股旅物は観た事あったけど、これは個人的には「時代劇」なんだよね・・・。

 そんな訳で2021年の一発目はこのテのジャンルで一世を風靡した東映作品「昭和残侠伝 死んで貰います」(’70)!・・・しょっぱなから外すの嫌じゃない。そこで、ついメジャー作に走ってしまった。申し訳ないっす(メンゴ)。主演は勿論、高倉健!!シリーズ全9作中、第7作目にして最高傑作の誉れ高い名作にしてメジャー作!タイトルに「昭和」とついてるけど、物語は「大正時代」からスタート(笑)。

 

 東京・深川ー。料亭「喜楽」に生まれた花田秀次郎(=健さん🎵)は、父が後妻を娶って妹が誕生した際、自分がいなくなれば全てがうまく治まると考え家を出た。ある雨の夜、博奕でイカサマにあった上にリンチを受ける。そんな時に出会ったのが芸者になるよう親に売られた娘・幾江(=藤純子)。彼女は店の女将に彼に一晩の宿を貸してくれるよう頼んでくれたものの、秀次郎は泊まる事なく姿を消すー。後年、堂々たる渡世人になった秀次郎は、かつて騙された上に暴行されたイカサマ師のイカサマを暴き、その際に人を斬って逮捕された・・・。

 服役中「関東大震災」が発生。彼が出所した時には元号も「昭和」に変わり、世の中はすっかり変わっていた。父親は逮捕された直後に急死、妹は震災で死亡。「喜楽」を支えていたのは震災で失明した義母と、妹の婿、極道から足を洗って板前になった風間重吉(=池部良)と地元のやくざの親分・寺田だった。秀次郎は重吉の願いを聞き入れ、偽名を使って板前として働く事になる。一方、幾江は売れっ妓芸者に成長、寺田の計らいで2人は再会を果たす。その頃、寺田一家と対立する新興博徒の駒井が「喜楽」を乗っとろうと企らみ・・・!?

 

 どうよ!?この昭和の任侠映画!!ベタベタだけど、そこがいいのよ^^!背中に「唐獅子牡丹」の刺青を入れてる「秀次郎」健さんが耐えて、耐えて最後は怒り爆発。池辺良と2人で殴り込みかけるのがこのシリーズのパターン。シリーズとはいえ、1本1本に継続性はないから、今作から観てもOKよ❤

 寡黙で耐える男の中の男・健さん(さすが「ゴルゴ13」のモデル)を筆頭に、ハマり役の池辺良の他、可憐な藤純子(←あえて旧芸名で記載)に加藤嘉健さんの弟分として長門裕之も出てる充実の俳優陣。今回のサブタイトルは名台詞が付けられているけど、今作の健さんの台詞は「死んで貰うぜ」。・・・我ながら細かい(笑)。

 監督は日本映画史にその名を残すマキノ雅弘(このシリーズも既に監督済)。正攻法の演出&的確な構図で男女の機微、男と男の友情、親子の愛を謳いあげる。中でもラストの大立ち回りは大迫力!日本家屋内で行われる激闘(人が斬られると共に、襖も切れ鮮血が飛び散る)は黒澤明の「用心棒」ともまた異なり一見の価値あり。

 

 素直に観て「面白い」映画だけど・・・唯一惜しまれるのが「美術」かな~。ナイト(夜間)シーンは暗くてバレないからいいんだけど、昼間の路地のシーンが時折セットなのがもろバレ(苦笑)。全盛期の大映や黒澤作品の美術(リアル&重厚)と比べると東映はねぇ・・・。ホントこれだけは残念だと書いておこう。・・・これまた細かい!